☆夜の薔薇Ⅱ


「君がいなければ、ぼくの眸に降りた長い夜は永遠に明けないだろう」
 僕の告白に彼女は微笑んだ。
「少しの間、目を閉じていて」
 彼女は、僕の側に身を寄せると、薔薇色の指先の魔法で、僕の眸を目覚めさせた。


 目を開けると、僕たちは、果てしない夜明けの端っこに腰掛ていた。
「世界は、こんなにも広いものだったんだね」
 僕は生まれて初めて世界を見た人のように言った。


「ねえ、あなたの目指す場所はどこなの?」
 と彼女は尋ねた。
「今度は、ぼくが魔法を使う番のようだ」
 僕は、輝く指先で、目の前に、遠く朝陽の差す道を描いた。
「さあ、一緒に行こう」
「ええ、どこへでも」
 僕たちは、一声歓びの声を上げると、二羽の鳥になって、光の道の上を飛んでいった。


     END


作者コメント
夜明けの空というものをまだ見たことがありません。それは、プラネタリウムの描き出す夜明けより、きれいなんでしょうね。