　現在公開中の映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』を観てきました。

　2020年、コロナによるクラスターが発生し内閣は崩壊、総理大臣も亡くなってしまう。この未曾有の危機に政府はAIを活用した内閣を立ち上げる。それは歴史上の偉人たちの内閣だった！

　最初、この映画の予告編を劇場で見た時は、何かの冗談かと思いました。控えめに見ても、色物映画かふざけたコメディと思ったのです。いや誰でもそう思いますよね。

　ところが実際に観てみたら、意外にも至極まっとうな政治シミュレーション映画だったのです。ついこの間のコロナ禍の時にこの偉人内閣があったら、と思ってしまうほどにです。

　監督は「テルマエ・ロマエ」や「翔んで埼玉」の武内英樹監督。この手のトンデモ設定な映画を着地させるのはお手のものです。しかも徳川家康、豊臣秀吉、織田信長を演じるのが、野村萬斎さん、竹中直人さん、GACKTさんの三人です。この三人に大画面で見栄を切られたら、我々平民はへへえーっとならざるをえません。

　この映画のもうひとつの見方として、偉人たちという隠れ蓑をまとってはいますが、実は実際に政策を立案しているのはAIだ、という図式があります。これはAIが国民を操作するという映画でもあるのです。ある種のポリティカルスリラーともいえます。

　そうした視点でこの映画で見ると、偉人内閣に対する国民の反応は、たしかに日本人ってこうだよな、と思えるものです。松下幸之助翁が仰ったように「国民はみずからの程度に応じた政治しかもちえない」ということなのでしょうか。

　まあ私の目当ては浜辺美波さんなわけです。ショートカットで新米のテレビ局員を演じる姿は、濃い人ばかりの中で一服の清涼剤でした。濃い人ばかりの偉人内閣をしっかり受け止めていて、俳優としてさらに成長しているなあと思います。

240729

全国の政治家に見せたい映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』