　現在、パナソニック汐留美術館で開催中の『ポール・ケアホルム展　時代を超えたミニマリズム』を観てきました。

　さて、またしても椅子の展覧会です。最近やたらと椅子の美術展が多いのは気のせいでしょうか。

　私が好きなカヌーイストの野田知佑さんは、どんな川奥に行くときも椅子と机は持っていったそうです。いわく文明人には机と椅子が必要なのだとか。椅子というのは人間の文化の象徴なのかもしれません。

　本展はデンマークの家具デザイナー、ポール・ケアホルムが制作した椅子やテーブル、約50点を紹介する展覧会です。といっても私もケアホルムの名前は知りませんでした。何しろ本展の挨拶文でも「ほとんど知られていない」と書かれ、あまつさえ「大家とはいえない」とされているほどです。

　ただケアホルムがデザインした椅子は、シンプルながらもハッとする美しさがあります。できるだけ少ない部品を必要最低限度に組み合わせてできている椅子には、ケアホルムの美学を感じます。

　その本展の目玉は、パナソニック汐留美術館ご自慢のルオーコレクションをケアホルムの椅子に座って眺めることができるコーナーです。実際に座ってみると低い座面で、腰と身体を受け止めると沈むこむように安定します。抱きかかえられているような座り心地なのです。なるほどケアホルムが優れた家具デザイナーであることがよくわかります。ぜひ会場でお確かめください。

パナソニック汐留美術館

「ポール・ケアホルム　時代を超えたミニマリズム」

は9月16日まで開催中です。なお現在土日祝日は日時指定予約になっていますのでご注意ください。

240725

ハッとする美しさのある椅子たち『ポール・ケアホルム展』