上海特別編、今回は「アートのみかた」らしく美術館のご紹介です。
浦東美術館は、上海の浦東地区に2021年7月開館した真新しい美術館です。上海随一の観光名所、外灘に面しています。てっきり国立かと思ったら違うんですね。国有企業である陆家嘴グループが運営しているそうです。まあ国有企業運営ですから、実質的に国立みたいなものですが。
私が行った時(2024年5月3日)は、「プラド美術館のモナリザ展」「光輝の時代」「100年の狂想」展などが開催されていました。こちらはまた別途レビューする予定です。
このほか常設のインスタレーションとして徐冰の「引力劇場」が展示されています。これは地上4階地下1階の建物をフルに活用した作品です。中央の吹き抜けホールの天井から網状の物体が漏斗状に釣り下がっています。網の表面には無数の漢字、アルファベット、記号が張り付けられています。漏斗状の構造は、よく引力の説明で使用されるCGを思い起こさせます。
この作品の見どころは作品本体というより床の鏡に写った鏡像なのです。網に張り付けられた文字は実は鏡文字で、鏡に写った時、初めて文字として識別できるのです。
ただ文字としては識別できるのですが読めません。おそらくオリジナルの字なのでしょう。これは引力の構造の使いながら、ディスコミュニケーションをテーマにしている作品のようです。
さて、この美術館の見どころはほかにもあります。建物の2階と3階には巨大なガラスの展望ルームが設置されているのです。そこでは外灘の絶景がパノラマで臨めます。もうこの景色だけで入場料を払う価値はあります。この景色を得るために美術館を作ったのだといっても過言ではありません。この展望ルームの反対側の壁面はガラス状になっていて外灘の景色が反射で映ります。バエる記念写真が撮れます。
さらにこの美術館は屋上に上がることができます。そこからの外灘はさらに絶景です。私が行ったときは昼日中でしたが、夜行ったらライトアップされていて、さらに美しいでしょう。もちろん美術館もそのことはわかっていて、営業時間は夜9時まで。美術館というより外灘展望台にギャラリーがくっついているといったほうが正しいかもしれません。
ということで、上海に行かれた際にはおすすめの美術館です。もちろん夕方から夜が狙いなのは言うまでもありません。
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