現在公開中の宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』を観てきました。

お詫び
本稿の初稿では冒頭部分を書いてしまいました。この映画ではネタバレが問題になっておりますので削除します。既に読まれた方は大変申し訳ありません。また以下の文ではネタバレしていないつもりですが、内容に関わる部分もありますので、ご注意ください。

 某映画サイトのレビューでは賛否両論真っ二つです。わからない、つまらない、説明不足という評もあれば、宮崎監督の集大成という意見もあります。

 私の心配は『君たちはどう生きるのか』なんて大上段に振り上げて、説教臭い映画になっていないか、ということでした。

 実際に観た感想として、説教臭い映画ではありません。しかしタイトルの意味や宮崎監督が伝えたいメッセージは明確に表現されています。今回宮崎監督は絵は描かず、すべてスタッフに任せたそうです。その次代の後継者に何を伝えたいのかというメッセージもきちんと描かれています。観終わった後に、そのメッセージを噛み締めることで、ジワリと余韻が残る作品になっています。

 このように映画としてはちゃんとできているのですが、エンターティメントとして観た時には、メリハリや山場づくりが弱いかもしれません。割と淡々とお話が進むのです。しかしこれは悪いことではありません。私たちはハリウッド流のサービス精神たっぷり、見せ場たっぷり、説明たっぷりの映画に慣れすぎているのです。私はこの映画にフランス映画の雰囲気を感じました。

 毎度書いてますが、映画は必ずしも映画の中で全てを完璧に説明する必要はないと思います。映画の中の2時間は誰かの人生の一部の切り取りに過ぎず、人生は映画の後も続くのです。そう考えれば、映画のタイトルの意味もよりはっきりするでしょう。
230715