現在公開中の広瀬すずさん主演の映画『水は海に向かって流れる』を観てきました。原作は田島列島さんの同名コミックです。例によって私は未読で臨みました。

 直達は高校に通うため叔父の家に住むことになる。彼はそこで秘密を抱えた女性、榊と出会う。彼女の秘密は直達にも関係することだった・・・。

 私は映画や美術展の評価で“圧倒的”という言葉を安易に使うのが好きではありません。そんなに圧倒されるほどの体験はめったにないと思うからです。

 しかしこの映画に関しては見どころは、圧倒的な広瀬すずさんの美貌、美しさです。特にアップになった時の横顔の美しさはまさに圧倒的です。撮る側もわかっていて、度々彼女の横顔が登場します。これは広瀬すずさんの横顔を堪能する映画なのです。

 一方、映画の物語自体には釈然としないところが、いくつもあります。その釈然としない部分を、すべて脇を固めるベテラン俳優陣の演技と顔芸に投げてしまっています。

 その昔、日本映画界には女優で作品を撮っていた時代がありました。監督や脚本ではなく吉永小百合で1本撮ろうというわけです。それだけサユリストが多かったんですね。広瀬すずさんにはそのような画面力があります。この映画で、すずリストがどんどん増えそうな予感がします。
230615