ゴールデンウィークのソウルへの旅、前回は行きと帰りで終わってしまいました。今回は「アートのみかた」らしく、博物館のご紹介です。

 今回のソウル旅行の目的地のひとつはサムソン美術館リウムでした。ところが実際に行ってみると、まさかの完全事前予約制。当日の予約もままなりません。美術館の中に入れないという大失策となりました。

 そこで急遽予定を変更し、もうひとつの目当てだった国立中央博物館へ。これが大当たりだったのです。



 国立中央博物館は美しい庭園の中に立つ全体面積8000坪という巨大な博物館です。展示内容は先史時代から近世までの様々な作品が保存されています。

 膨大な作品を所蔵している国立中央博物館ですが、目玉は新羅時代の金冠と半跏思惟像です。もちろんどちらも国宝で、それぞれ特別な一室を与えられていることからも価値の高さがわかります。



 この金冠は5世紀、新羅時代のものです。2本の鹿の角と3本の木の枝状の装飾が高々と掲げられ、王の権威の高さを表しています。一面に翡翠が取り付けられており、制作登場はまばゆく輝いたことでしょう。

 冠はやはり黄金でできた腰帯とセットで展示されています。こちらにも魚や珠、短刀などの飾りが輝かしく取り付けられています。

 ちなみにこの金冠、1階のミュージアムショップでレプリカが売ってました。まさか本当に純金・翡翠製とは思えませんが、いくらぐらいなのでしょうか。値段はスタッフにお問い合わせをと書いてあったので、わからずじまいでした。



 そしてもうひとつの目玉がこの2体の半跏思惟像です。こちらは「思惟空間」という特別な部屋で厳かに展示されています。静かな環境音楽が流れるこの部屋は「思惟」の名のとおり、瞑想的な空間になっています。

 半跏思惟像といえば中宮寺の仏像が有名ですね。中宮寺の半跏思惟像に比べると、やや小ぶりな感じがします。調べてみると、中宮寺は87.9cm、国立中央博物館は右側の一体で83.2cmでした。



 右側の一体は全体的に女性的な柔らかさを感じます。衣服の襞も自然です。左側の一体はもう少しキリっとした感じで、衣服の襞は抽象化されています。どちらもわりとハッキリと笑みを浮かべています。



 このほか各所に設置されたイマーシブデジタルギャラリーも見ものです。いわゆる“没入型”といわれる360度シアターですね。特にこの部屋は継ぎ目のない3方向にスクリーンがあり、没入感が高かったです。映像コンテンツもクオリティが高く、博物館の中を歩いて一休みするのもおすすめです。

 巨大な国立中央博物館ですが、黄金の冠と半跏思惟像、イマーシブデジタルギャラリーだけを観るだけでも十分価値はあります。全部無料で事前予約の必要もありません。日本のどこかの博物館にも見習ってほしいなと思う次第でした。
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