テレビドラマ「最愛」が昨日、最終回を迎えました。てっきり来週が最終回だと思っていたので、「最愛ロス」になりそうです。忘れないうちに、思ったことを書き留めて置きたいと思います。

松下洸平さん
 大学生役から回を追うごとに、どんどん刑事らしい顔つきになるのを楽しみに見ていました。この一作で役者として大きく成長されたのではないでしょうか。最終回の加瀬への絶叫は本作の、そして松下さんの演技の集大成でした。次回作が楽しみです。

及川光博さん
 最初はこいつこそ悪人かと思わせておきながら、最後は男らしい出処進退を決めて見せるという役どころ。性格俳優だけでなく名優の域に入りつつあるのではないかと思います。

薬師丸ひろ子さん
 私たち世代にとっては「伝説の美少女」です。その美しさは変わることなく、会社経営者として母親として堂々の貫禄を見せてくれました。

吉高由里子さん
 芸達者は言わずもがなですが、純真な大学生から高冷な会社社長を一瞬で切り替えて見せる実力はさすがです。

 最後に「最愛」というタイトルの解題について。

 このドラマは失われた家族の物語です。登場人物の誰もが家族を、あるいは大切な人を失うか失いかけています。登場人物は大切な人を失わないために、あるいは取り戻すためには、どんな自己犠牲も厭いません。そしてその結果、ある人は報われ、ある人には報いが来ます。

 誰が誰を思い、どんな犠牲を払っているかは、一覧表にできるほどです。脚本は寺佐渡子さんと清水友佳子さんのお二方が手掛けていますが、おそらくその一覧表をもとに物語を組んだのだと思われます。

 最終回は、その一覧表をすべて種明かしするような演出になっていました。

 井浦新さん演じる加瀬弁護士は、この自己犠牲の物語のキーマンであり、象徴ともいえる人物でした。

 タイトルの「最愛」は、特定の誰かの愛ではなく、大切な人のためには自己犠牲をも厭わない思いを表しているのだと私は思います。

 コロナ禍の今、何かと不寛容な世の中になっています。

 その中で、大切な人を思いやる心を呼び起してくれるようなドラマでした。
211218