今、書店には「美術展完全ガイド2020」や「絶対に見逃せない美術展2020」といった様々なガイド本が並んでいます。それらを眺めながら、今年は何を見に行こうかなと検討されている方も多いかと思います。今回は、私が「見に行きたいな」とリストアップした美術展と注目作品をご紹介します。なお、便宜上番号を振っていますが、ランキングというわけではありません。

 

⒈ロンドン・ナショナル・ギャラリー展

2020年3月3日から6月14日 国立西洋美術館

 ロンドン・ナショナル・ギャラリーは1824年設立。王族ではなく個人のコレクションが基礎となっているのが特徴です。今回はその中から全て日本初公開の作品がやって来ます。全てが見どころといってもいいでしょう。

 ゴッホやフェルメールなども来ますが、私の注目はレンブラントの「34歳の自画像」。とにかく自画像好きだったこの画家の自信に満ちた表情をじっくりと見てみたい。ちなみにこの作品はナショナルギャラリーホームページの必見30作品の一つにも選ばれています。

 

⒉ボストン美術館展 芸術×力

2020年4月16日から7月5日 東京都現代美術館

 ボストン美術館といえば兼ねてから日本美術のコレクションが有名。あのアーネスト・フェノロサがボストン美術館の初代日本部部長として多くの作品を集めました。その中でも今回の私の注目は「平治物語絵巻」。鎌倉時代に描かれたこの絵巻は、武士の時代にふさわしい合戦の模様が描かれています。緻密な描写を間近で見てみたいですね。

 

⒊法隆寺金堂壁画と百済観音展

2020年3月13日から5月10日 東京国立博物館

 近年、「攻めている」企画展が面白い「東博」こと東京国立博物館。春は法隆寺から百済観音像がやって来ます。実は昨年法隆寺に赴き、百済観音像は拝観しました。なので今回の注目は金堂壁画の方。残念ながら実物は1949年に焼失しているため今回の作品は模写ですが、それでも1300年の時を超えた絵を見てみたいものです。 

 

⒋国宝鳥獣戯画のすべて展

2020年7月14日から8月30日 東京国立博物館

 またもや「東博」。そして鳥獣戯画。この作品についてはここで説明する必要もないでしょう。注目ポイントは鳥獣戯画4巻がすべて公開されるとうい点。4巻それぞれで作者や時代が違うのでは、と言われています。その比較を実物で確認できるまたとない機会です。

 

⒌BANKSY展(仮)

2020年8月29日から12月6日 寺田倉庫G1ビル

 近頃巷の話題のバンクシー。アートというよりも社会現象といった趣もあります。そしてそれがBANKSYの狙いでもあるのでしょう。ここでは、バンクシーの作品を展覧会で一堂に見る意味を考えてみたいと思います。

 

⒍超写実絵画の襲来

2020年3月18日から5月11日 Bunkamuraザ・ミュージアム

 千葉県にあるホキ美術館は私が好きな美術館のひとつ。世界でも数少ない写実絵画だけを収蔵する美術館です。素晴らしい美術館なのですが、東京からだとそこそこ距離があります。今回はそのコレクションが渋谷にやって来ます。写実絵画に興味がない方もぜひ足を運んでいただければと思います。私の注目作というか好きな作家は石黒賢一郎さん。彼の描く現代的な写実画が好きです。

 

⒎江戸絵画の華展

2020年9月19日から12月20日 出光美術館

 2019年出光美術はアメリカのプライス財団から190展の日本美術を購入しました。今回は、その中から80点あまりをが公開されます。私の注目は伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」。実は最近辻惟雄氏と村上隆氏の共著「熱闘!日本美術史」を読み、その中で紹介されていたのがこの作品。何しろ1cmの升目を埋める形で高さ168.7cm横374.7の大画面が描かれているという途方もない作品。言葉の説明だけだと狂気じみた作品を目の当たりにしたいものです。

 

⒏クロード・モネ 風景への問いかけ

2020年7月11日から10月25日 アーティゾン美術館

 2020年1月新装オープンしたアーティゾン美術館。かねてからコレクションの質の高さは有名でした。この夏はオルセー美術館からモネがやって来ます。収蔵作品とあわせて是非訪れてみたい美術館のひとつです。

 

ご紹介した展覧会はごくごく一部。このほかお勧めしたい美術展は多々あります。意外と気がついたら会期が過ぎていた、ということもありがちですので、ぜひ1年の計画リストを作られるとよいでしょう。

2020年2月8日