ポストに届いていたおはがき。

贔屓にしていたブランドの、最寄り店舗の閉店のお知らせ。

 

多色刷りの新作案内のはがきと違い、事務的な文面と閉店後の問い合わせ先が白黒で印刷されていた。

 

もともとコロナの前の年に百貨店内に出店したお店で、当時の店員さんは一風変わった方だった。

若くとても真面目、同じブランドの他店舗で購入した商品のアフターケアもしっかりと行ってくださり、知識も豊富で、正規のアフターケアよりも安く済ませる方法もこっそりと伝えてくれる方だった。

 

一方で新作商品の案内を忘れていることはしょっちゅうで、たとえ予約した商品でも、実物を見て、お客さんに合わないものや、素材として難のあるものであれば、売らない方だった。一方でよいものがあれば電話をくれ、その時お店に在庫がなくても全国から在庫を探して確保する、といった対応は自然としてくれる方であった。

セールの案内のはがきには修正液を使って必死に書いた、よく言えば愛嬌のある、悪く言えば百貨店名が入った葉書としては度胸があるとしかいいようのない手書きの文字で、一人一人に合わせた文面をつづっていた。

 

おそらく、ブランドや自身の売り上げといったことより、ほんとうに「商品」が好きな方だったのだろう。輸入の既製品を売るようなお店ではなく、オーダーメイドでお客さんと一から「商品」を作り上げるようなお店のほうが向いているのではないか、と思ったほどであった。

 

しばらくして、その方がやめ、後任の方になった。後任の方は、丁寧なミドルの方で、百貨店内の店員さんらしい対応ができる方だった。一方で、名簿の登録が重複しているせいか、同じセールの案内で、手書きのはがきを同じ日に2枚送ってきたということもあり、ルール以上のことは考えていないのかな、という方だった。

 

コロナがあって足が遠のき、案内もあまり来なくなり、さらに足が遠のき...

 

閉店のお知らせ。既製の印刷された葉書以外特になにもなく、今日に至る。