そうだよ。世界はいつだってばかげた映画みたいなんだ。素晴らしい。

 

ばかげた映画の結末(2002/06/13初出)

 「まるでばかげた映画の結末」と悲嘆にくれたのはW杯一次リーグで敗退したアルゼンチンのファン。政府与党による防衛庁疑惑の隠ぺいは「まるでばかげたスパイ映画の結末」▲「ばかげた」に替えて「お定まりの」「ありふれた」「通俗的」「陳腐」「B級」でもいい。ただし優勝候補の敗退はまったくの予想外だったが、官僚と政治家の隠ぺい工作はまったくの予想通り▲すでに報じられている通り、防衛庁に情報公開を求めた請求者の個人情報を不法にLAN(庁内通信網)に掲示していた問題の調査報告が、政府によって修正されたとされる問題で、再び国会が混乱の様相を呈している▲それにしてもこの厚かましさには舌を巻いてしまう。このリスト問題では疑惑が発覚してすぐ隠ぺい工作が指摘され、さらに疑惑が深まっていた。衆人監視の面前でなお、報告を歪める図々しさは万引きの常習犯に近い▲その多くは捕まっても大したことはない|と何度も万引きを繰り返す。万引きは立派な犯罪だが刑罰が少し軽すぎるのだろう。政治家や官僚による不作為や怠慢にも骨身にこたえるほどの刑罰を用意した方がよさそうだ▲そもそも不正を疑われた防衛庁が防衛庁自らを調査するのは道理外れだが、せめてものなぐさめは防衛庁の調査報告が、与党幹事長たちに影響を心配させる程度に、誠実だったことかもしれない▲最近、善良な官僚の存在を予感させる内部告発が増えている。政府のメディア規制法ではこうした正義の人もすべて罪人。ハイテクですべてを監視される国家に住みたい人はいるだろうか。まるで不気味なSF映画のような国。