言い訳の天才たちが育てた後継者たちはその後も次々と問題を起こし続け、コロナ禍解消の決め手となるワクチン確保にも失敗した。彼らの言い訳をよく聞いてあげると、どこからどこまでも「ボクは責任取りたくない」と聞こえる。権利は最大に、責任は最小に、が彼らのモットー。いや現代日本のモットー、いや大本営も同じモットーだったような気もする。根性なし。
ことなかれの呪文(2002/05/14初出)
もしあの映像が公開されてなかったら、瀋陽事件は同情を誘うただの思い出話になっていたかもしれない。川口順子外相の釈明会見で言い訳の天才たちの仕事ぶりにため息が出た▲亡命を願って領事館に駆け込んだ北朝鮮の五人は今も中国当局に拘束されている。日本の外務官僚の危機感のなさ、人権意識の低さはもう世界に知れ渡ったが、昨夕の会見でまた不信が深まった▲外相の調査報告は言い訳で埋められていた。中国側が五人の連行を「日本側の同意を得た」としているのに対し、「同意なし」とあれこれ説明したが、もはや役人の得意な水掛け論の領域に入った▲彼女に期待されたのは役人の弁明ではない。彼女は映像を見た多くの人々の疑問、「なぜ警官の侵入を阻止しなかったのか」「なぜ連行を静観したか」などについて政治家としての判断と決意を明らかにするべきだった▲しかし裏切られた。報告書によれば副領事ら職員たちは、事件を「よくあるビザ申請のもめ事」と思い、「声を発する間もなく」五人は連行され、その後は「立ちふさがって連行を阻止しようとした」ことになっている▲門に取りすがって朝鮮語で叫ぶ女性と子供を見ても、ひん発している亡命事件を思いもせず、警官が敷地に入ってもウィーン条約違反を思わず、十五分間も傍観して声も出さない外交官とは何のために存在するのだろう▲「分からなかった」「知らなかった」。同じ弁明が官僚不祥事のたびに繰り返される。「ことなかれ主義」の呪文。「気付かなかった」ではすまないことを思い知らせておかないと、日本はそのうち役人の言い訳で破滅する。