なんともおそるべき話だが、今年2月に障害発生で止まってしまったみずほグループのATMは20年も前から定期的に混乱を繰り返してきたらしい。これはもう組織的体質の問題だと思うのだが、どうして改善できないのだろう。3で割り切れない問題だからだろうか。

 

みずほジョーク(2002/04/16初出)

 合併で世界最大の金融グループとなった「みずほフィナンシャルグループ」のシステム混乱の原因は旧三銀行の主導権争いの結果との指摘がある。一年半前のジョークを思い出した▲一日に再編スタートした直後のシステム障害がまさか半月も続くとは思わなかった。いくら巨大合併とはいえ、二年半の準備期間と優秀な人材がいれば、多少の障害はクリアするだろうと思われた▲ところが現実は半月たった今も業務の完全復旧にいたらない。経営責任の追及は免れないが、一番の責任を負うべき最高経営責任者(CEO)が三月末まで三人いたという事実がすべてを物語るだろう▲「みずほジョーク」は一昨年の米大統領選にまつわるものだった。難航する得票集計の手伝いを世界最大のみずほ銀行が買って出て、たちまち票数を確定、優秀さをアピールするという内容だが、もちろん落ちがある▲お札を驚くべき速度で正確無比に勘定する特殊技術に対し、米政府は最大級の賛辞と手数料四百万ドルを送るが、第一勧銀、富士、日本興業の旧三銀行頭取からなる共同CEO三人は三で割り切れない特別収入の配分に頭を抱えてしまうという落ち▲もちろんジョークはジョークだが、世界最大の銀行を生み出すという巨大事業の推進にあたって、旧三行の寄合所帯状態を解消できずに、CEO三人を誕生させるという結論に現代日本システムに潜む致命的欠陥がある▲みずほ銀行の店頭ポスターは「みずほが動き出します」。それを見た知人は「ATM(現金自動預払機)以外は、って書かないとね」と冗談を飛ばした。面白い冗談にはいつも真実が潜んでいる。