二人とも亡くなってしまったが、星野さんも名将、野村さんも名将。どちらが好きかはあっても優劣はつけ難い。こんな個性的な監督は今もいるのだろうか。

 

勝った、勝った、また勝った(2002/04/10初出)

 勝った、勝った、また勝った。阪神タイガースは昨夜の広島戦に快勝して八勝一敗。万年最下位チームが球団タイ記録の七連勝も含め、あっという間に常勝軍団に生まれ変わった▲大阪では長年のファンも含め、にわかファンから隠れファンまで現れて、阪神デパートの売り上げが急上昇、飲み屋街もにぎわって大騒ぎ。早くもこのまま優勝すれば経済波及効果は一千億円との話まで飛び交っている▲いったい何が変わったのかは言うまでもない。主力選手はほぼ昨年のままだし、戦力的に大きな変化はない。すべては中日ドラゴンズの熱血シンボル・星野仙一監督を新監督に迎えたことにある▲いったい星野さんのどこがすごいのだろう。今年、ある電器メーカーが新入社員に実施した「理想の上司」アンケートで星野監督は二位に大差をつけて断トツの一位に選ばれた。その理由は「部下をやる気にさせる人」▲破竹の勢いで勝ち進む阪神は確かにやる気に満ちている。万年最下位の豹変は長年のファンも驚かせた。地元テレビの人気者田尾和俊さんは「四連勝あたりから高所恐怖症。八つめに負けてやっと安心」と複雑に喜んだ▲田尾さんは先月末に地元の人気ミニコミの社長を引退したばかりだが、社員のやる気を引き出すという点で企業との共通点を指摘。若手中心の伸び盛り企業と安定企業のリーダーシップの在り方の違いを挙げて分析した▲「昨年までの野村ID野球はデータとマニュアルのシステム野球。管理はできても若い選手のやる気は引き出せない。星野さんは気力の大切さを選手に実感させた」。データを超えて、がんばれ阪神。