まさかこんなコラムが出てくるとは。ちょうど20年前の2月のコラム。この時は粘りに粘って、支持率が10%を切っても粘りを見せたが、最後はあえなく辞職した。人柄としてはそんなに悪い人だとは思わなかったが、最初から最後まで大学のサークル活動の気分の人だった。今回も同じ結末だった。
お辞めください(2001/02/16初出)
前略 森喜朗内閣総理大臣閣下。あなたに向けてコラムを書くのはこれが二度目です。一度目は就任一カ月の昨年五月、お辞め下さいと書きました。若葉の美しい季節でしたが、心は曇っていました▲「日本は天皇中心の神の国」という発言であなたは世界を驚かせました。その後も軽率な発言を続けるあなたを、米有力紙は「破滅的に口の軽い首相」と評し、そんな人が首相に就任できる日本を怪しみ、軽んじました▲あなたが就任して株価は下がりっ放しです。志半ばで急死した小渕前首相の経済対策を台なしにしたのはあなたの存在です。今回の原潜ゴルフ騒ぎで公明党が退陣を口にした途端、株価は跳ね上がり、これを証明しました▲これまで何度も痛い目に遭いながら、なぜ軽率な言動が止まらないのか、国民はあきれていますが、その厚顔無恥こそあなたが最も得意とする政治手法だったのでしょう。識見も理想も倫理も道徳もなし。ひたすら生き残る|それがあなたです▲首相就任の前にあなたをよく知るジャーナリストに尋ねると、彼は即座に言い放ちました。「絶対に首相にしてはいけないタイプの人」。そのあなたを推薦した村上正邦参院議員は舞台から消えました。次はあなたです▲もう一人の強力サポーター亀井政調会長は「失政のない総理」と抗弁しますが、これは「叱正」の誤りでしょう。存在そのものが失政です。テレビキャスターの久米宏氏は昨夜、「まるで諫早湾の堤防|とんでもない物を作った」と評しました▲あなたの評価は家庭教師に選びたくない人物アンケートで一位に選ばれたほどですが、よいこともありました。国民はもう二度と「だれが総理でも同じ」とは言わないでしょう。あなたにしかできない歴史的貢献でした。しかしもう十分です。お辞め下さい。