ACTの一年間特集号

アーツカウンシル高松(高松芸術文化市民協議会/ACT)が、昨年7月1日に設立されて早くも1年を迎えようとしています。練習場付きの事務所を高松市丸亀町商店街に面したクアトロトルリビル6階に構え、石井ルリ子理事長を筆頭に役員はもちろん、正会員の多くの方々、協力企業の支援を得て、備品類を整え、各種の活動をスタートさせました。改めてご協力をいただいた皆さんに感謝を申し上げるとともに、「瓦版アクト」で、この一年の活動をご報告します。
アーツカウンシル高松は昨年10月に香川県からNPO(特定非営利活動法人)の認証を受け、正式な法人としての活動を始めました。昨年12月の活動報告会でご紹介したとおり、委員会と特別委員会、プロジェクトチームが相互に協力をして活動を進めています。委員会には、音楽、演劇、舞踊、芸能、パフォーマンス、美術、生活文化、文芸、映像の各ジャンル別委員会と、鑑賞支援、総務の各委員会があり。特別委員会には渉外、データベース、広報、新規事業特別、能力開発の各委員会が設けられました。正会員はそれぞれの希望する委員会に登録して、さまざまな事業を提案し、実施していますが、ジャンルにとらわれない新しい発想の文化芸術活動を生み出すため、事業実施にあたっては委員会単位ではなく、自由に参加できるプロジェクトチームを組織するシステムをとっています。 今年1月にスタートした劇団四季のミュージカル「キャッツ」を招聘する「高松に猫を呼ぶ会」の活動をはじめ、すでにいくつかの提案型プロジェクトがスタートしています。これまでのように行政に頼るばかりでなく、また商業主義に偏るばかりでもなく、人々の暮らしを彩る芸術文化を市民共有の財産と捉えて、地域の市民自らの協力で芸術文化を育むという新しい試みに多くの皆さんが参加してくださることを願っています。

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ACTの主な活動報告

少年少女合唱団育成事業 平成13年11月~ 週一回2コース ACTスタジオ

子どもたちには幼少時から豊かな音楽に触れ、表現喜びを味わえる場を提供したいとの願いを込め少年少女合唱団を設立しました。石井ルリ子理事長をはじめアーツカウンシル高松に参加している、声楽、ピアノなどの指導者がレッスンを行っています。
13年度の高松市文化奨励賞受賞者の集いにおいては、石井ルリ子理事長の演奏やSWJOのジャズ演奏と共演し、美声を披露しました。県民ホールのステージに立ち、子どもたちの自信にもつながって、ますます練習にも気合いが入ってきました。
学校が週5日制になったこともあり、レッスンを毎週土曜日に行っています。カリキュラムで縛られた学校教育以外の社会教育の重要性が再認識されている今、学校以外での子どもたちの成長・活躍の場としても重要な事業です。 また、アーツカウンシル高松というひとつの輪の中に集まることによって人材や練習場などの有効利用も図っています。少年少女合唱団設立という共通の目標をつくることで、県内の音楽指導者たちを結集させたいと願っています。

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演劇塾 平成14年3月~ 毎週土曜日 ACTスタジオ

身体表現は、人間が表現するメッセージの基本のひとつです。行動様式、立ち居振る舞い、発声等、人々が日常の生活の中で行っている、基本的な動作を改めて見直しながら、体系的な演技指導を行っています。
基本的な演劇に興味があるがどんな勉強をしたらいいのか分からない、劇団に入る前に勉強したい、という人たちがたくさんいます。また、現在、アマチュア劇団などで活躍している人たちにとっても体系的な演技指導がかねてから求められていました。演劇塾はこうした人材も掘り起こしていきます。 アーツカウンシル高松の八木亮三理事(劇団R&C)が指導にあたり、演技・朗読・劇作の各コースで基礎講座を開いています。受講生は小学生から70歳ぐらいまで幅広く募集しています。

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トータルファッションDESIGNING展2001 平成13年11月22日 高松駅サンポートオープンステージ

アーツカウンシル高松初の主催公演として、生活文化部門が企画しました。ファッションをトータルで考えると、洋服だけでなく、ヘア・メイクも重要なポイントです。
プロを目指す専門学校生のデザインし、制作した洋服をヘア・メイクアップのスペシャリストが技術を駆使していかに美しく見せることができるかを試み、一般市民にアピールできるようJRの構内にて行いました。洋裁、ヘアーメイクアップをつくる際にいかに裏付けされた技術が必要か、優れたファッションは高い技術の上に成り立っていることを高校生など若い人たちにも理解してもらうためにトークショー形式を採用しました。高松駅ロビーに香川三菱自動車の協力により、背景として自動車2台を使用した、華やかなステージにモデルたちが並び、2千人以上の観客が集まりました。独創的な感性を存分に発揮した作品を発表したデザイナーたちは、多くの市民に感動を与え、後続の若者達への希望を齎しました。また、若い世代時のよい経験は、一生つながる豊かさだと考えます。

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アーツフェスタ高松

アーツフェスタ高松(高松市民文化祭)が今年の秋にアーツカウンシル高松共催で開かれます。アーツカウンシル高松はは竹内肇理事が実行委員長に就任するなど主要な役割を担うことになりました。舞台芸術や音楽部門などアーツカウンシル高松の各部門から出された案をもとにディレクターたちが会議を重ね、企画をとりまとめて高松市に提出しました。
アーツカウンシル高松からは、ディスプレイやストリートパフォーマンスを行う「ウインドーディスプレイショーIN高松2002」、アーツカウンシル高松に関係する各団体の音楽家たちが共演する「クラッシック・コレクションコンサート2002」、洋舞5団体合同の「カラーファンタジー」、魂の詩に新しい声を-「朗読集会」、尺八、箏、三弦による「邦楽三曲演奏会」、「トータルファッションDESIGNING展2002」、また、日舞、民謡、民舞、映像、合唱、等各ジャンルから企画案を提出しました。
アーツカウンシル高松は、芸術文化にかかわる様々な活動家たちの集まりです。
一団体の単独公演だけではなく、融合し、共演し、連携して、地域の芸術文化を市民の手でより豊かに、より深く発展させることを願っています。
古代から「芸どころ」として知られた讃岐高松のアーツフェスタ、を世界に誇れるフェスティバルにしていく第一歩です。

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邦楽ふれあい体験コーナー 平成14年3月24日 丸亀町商店街

平成16年度春の新市民会館開館のプレ事業として高松版芸術屋台村「Let’sぱふぉーまんす らいぶ」が高松市主催で、丸亀町商店街で開設され、アーツカウンシル高松の邦楽部門の企画で子どもたちに箏・尺八の体験をしてもらいました。
常日頃ふれあう機会の少ない、箏・尺八の楽器に触れ、実際に弾いたり、吹いたり、また演奏を聴いたりする。「子どもたちとの触れあいコーナー」を設置しました。参加した子どもたちの中には、興味が湧いて長時間箏を弾いたり、また、「尺八が鳴り出した」と言って、いつまでも尺八を手に大喜びをしていた方もありました。

高松港物語講座 平成14年3月~5月

高松まちづくり研究会との共催で高松港の歴史や再開発などについて勉強会を行っています。
受講者は一般から募集しましたが、サンポートの開発が進んでいることも合って高い関心を示していました。講師は国道交通省高松港湾空港孝司事務所、香川県港湾課の担当者や地元の歴史家など。

高松に猫を呼ぶ会

サンポート高松に劇団四季のミュージカル「キャッツ」のロングラン公演を誘致しようと市民運動を立ち上げました。会員はミュージカルファンなどおよそ300人。会長には水谷正裕理事が選ばれ、アーツカウンシル高松がが事務局を担当しています。
「キャッツ」を平成16年のサンポート高松グランドオープンの目玉イベントにするとともに新市民会館の開館記念事業にすることを提案し、5月半ばまでには約300人の会員が、4万人を超える署名を集めました。5月14日、市長に市として誘致の要望書を出すなど積極的に働きかけてくれるよう要望書を提出し、市長は積極的な取り組みを約束しました。
にぎわいが生み出されるところとは、人が集うところです。にぎわいが生み出されるときとは、人が心を動かされるときです。キャッツ公演の実現の際に生み出されるにぎわいは、サンポートを、高松を、地域が誇れる臨海都市にできるのではないでしょうか。

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サンポート昭和館構想

高松港の旧県営桟橋の建物をオープン・カフェ併設型の劇場に再利用しようという構想です。
大勢の県民が長年利用してきた県営桟橋の建物は県民の郷愁を呼び起こし、心を癒す力を持っています。この建物を「登録文化財」という形で保存するとともに海辺のステージという付加価値を付けて多くの県民に親しまれるサンポートの名所にしようというものです。また、ジャズ音楽を中心に実験的舞台芸術の「場」として地元アーチストによるライブやイベントを毎週行い、創造活動の芽を育てながら文化の発信を行います。
ジュリアナ東京などをプロデュースした香川県出身の音楽家・プロデューサーの三木敏悟さんにプロデュースを依頼しています。
シンボルタワーオープンや、キャッツ公演(実現したら・・・)を、一過性のイベントのにぎわいで終わらせないためにも、芸術文化拠点として重要な意味を持つものではないかと思います。

 

また、このほかにもアートマネージャー育成事業の「たかまつアートの人づくりプロジェクト」、「春風亭小朝独演会」、アーツカウンシル高松の事務所を使って週一回何かイベントを行う「50 Drops of ARTs」、芸術文化情報の発信システムの構築などの構想も進行中です。

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