村上隆「お花の親子」 | 私の好きなアートと建築

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50年に亘り、世界中の野外彫刻と建築を見てきています。その中から、わたくしの好きな「作品」を紹介していきたいと思っています

                    村上隆を早くから天才と言ってきた私には、

なんだかんだ文句を言ってきた者は、

六本木ヒルズ広場正面に鎮座する眩いばかりの「お花の親子」に会えば

圧倒されるに違いない。

 

 

 

         10mの高さにブロンズに金箔の一点の曇りのない、

これでもかと燦然と輝くオーラに、金箔で太陽光が何倍にも増した光線で、

汚れ切った惨めな自分を、隅々まで洗い流してくれる気がした。

そして、開いた大口から金の光線を四方八方に撒き散らしながら、

奈良東大寺の大仏を思い出した。

          かつて金箔で覆われた大仏を前に、

人はこの世のものとは思わず平伏しただろう。

 

           日本最大の高級ショッピングモールには、

最先端の美術の大文化ゾーン、森美術館と野外彫刻で演出する。

あくまで、ハイクラスのリッチさの名実の限界を突き抜けたのが、

この「お花の親子」だろう。

          「お花の親子」が出現(~2021年9月26日/要チェック)するまでは、

ブルジョワの「スパイダー」が六本木ヒルズの看板作品であったが、

取って代わられ「悲しみを湛えている。

 

 

         その「お花の親子」によって、

バブリックアートの世界も明確に20世紀から21世紀の過去と未来の断絶を見せた。

        七面倒くさい芸術の意味などどこかに雲散霧消し、

圧倒的金の力、物量、大きさなど、

昔ながらの個人の芸術家の範疇からかけ離れ、国や大企業のレベルになった。