雨の七夕 | peehのアートな日々

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画家Peehの作品は「メルヘンブルース」と呼ばれています。
少年の頃の蒼くドキドキしてた感覚を忘れずに、アートを通じて
出会った素敵な人たちや、出来事を発信して沢山の人たちと友達に
なれたら嬉しいな!

7月7日(火曜日)

 

 

 

 

昨夜から猛烈な雨が降り続いていますが

 

現在のところ当地では被害なく済んでいます

 

移動中ふと見つけた「七夕橋」…そうだ今日は七夕さん

 

だったんだね

 

今夜は天の川を見るのは難しそう

 

 

ちょっぴり切なくさせるかもしれないけど星空のファンタジーを

 

お楽しみ下さい

 

 

 

 

7月7日の早朝、ひとり暮らしの星野彦造さんの家に、宅配便が

届きました

 

「星のぼうや」とロゴの入った真っ赤なユニフォームを着た青年

 

「九十歳のお誕生日、おめでとうございます!」

 

 彦造さんはびっくりして、青年を見つめました。

 

 

 

「彦造さん、失礼ですが、ご自分の生まれた日の

ことを、誰かに聞いたことがありますか?」

 

「わたしが生まれた日のこと・・・?

父親は、わたしが生まれる時刻に、流れ星を見たそうです。」

 

「それです!それが証拠です。」

 青年は、うれしそうに言いました。

 

 「流れ星が地球に落ちたときに生まれた子供は、

 みんな『星のぼうや』なんです。」

 「星のぼうや?」

 

 

 

 

「はい。世の中には、『星のぼうや』として生まれてきた

人達が たくさんいます。その人達は、決して大人になることがない

外見は年をとっても、中身は子供のままなんです。」

 

「たしかに昔から、周りの者に

『いつまでも子供っぽい』と笑われてきました

夢ばかり追いかけては…

 彦造さんは、昔を懐かしむように言いました

 

 「それでも、彦造さんの存在は、きっと周りの人達を

幸せにして くれたはずです。彦造さんの、子供のように

まっすぐな瞳を見つ めたり、彦造さんの夢の話を

聞きながら、みんなとても心がなごんだはずです。」

 

「そうじゃろうか・・・。」

「きっと、そうです。それが『星のぼうや』の使命

なんですから。」

 

 

 

「実は、『星のぼうや』の仕事は、それだけではないのです

最後に大きな役目が残っているんですよ。」

 

青年は、布袋の口を開きました

「それは・・・。七夕の短冊かな?」

 

「そうです。日本中の人達が書いた短冊です。この大事な願いごとを

天の川まで届けていただきたいのです。」

 

「天の川まで?」

 

彦造さんは、びっくりして目を丸くしましたが、「わかりました

たしかに、この荷物、おあずかりします。やっと今夜、わたしにも、

『その時』が来るんですね。」

 

 

 

「はい。頑張ってください。」

 

「しかし、その荷物はかなり重たそうだな。「大丈夫です

毎年、どなたも立派に成し遂げられています」

 

 「はい。今晩は、きっといいお天気になります。

天の川も、はっきりと見えるはずですよ」

 

青年は、真っ白な歯を見せて、さわやかに笑いました

 

「もしかすると、君もその…『星のぼうや』なのかい?」

 

 

 

 

「彦造さんも、こうやってきっと、たくさん

の人達を幸せにしてきたんですよ」

 

「そうじゃろうか」

 

「そうですよ。ですから、胸を張って、行ってください」

 

「そうだな。君も残りの人生を『星のぼうや』として頑張っておくれ」

 

「はい。頑張ります」

 

「では、お気をつけて」

 

「君もな」

 

 

 

 

夜、11時50分頃、布団に横になっていた彦造さんは、

「その時」が来たことを知りました

 

気づくと、彦造さんの体は、風のように軽くなっていました

彦造さんは、玄関の荷物を手に取ると、ひょいと肩にのせました

 

美しい月夜でした。星達も夜空いっぱいにまたたいています

 

 

 

 

すいっと彦造さんの体が宙に浮き、そこからは、まるで階段でも

上るように楽々と、上へ上へと登っていけました

 

いつのまにか、彦造さんの姿は、少年に戻っていました

天の川では、たくさんの星達が「星のぼうや」の到着を

待ちかねていました

 

無事に仕事を終えた星野彦造さんは、

その夜、新しい星になりました

 

 

 

 

地上では、もう一人の「星のぼうや」が、赤いユニフォーム姿で

 

いつまでも夜空を見上げていました

 

 

 

おしまい