5月10日(木曜日)
時々僕はハートトリップして、別世界や空想世界に
遊ぶことがあるんだ
ある日とんでもない季節はずれの熱風が
風邪の回復が遅れ、やっとの思いで
無理をおして、ビル街をへなへなと歩く男の体を
瞬間湯沸かし器のように沸騰させている
「何これ…いやな予感が当たらなきゃいいが
今年はなんでも太陽光フレアとか地軸の傾き
なんだっけ?ポールシフトとかで地球的規模の災難が
現実味を帯びているらしいな?」
男の横には、碧眼で長い黒髪の背の高い女が
ペルシア模様の布に包まれた「箱」を大事そうに抱え、
男を気遣いながら目的の場所へと向かっている
この暑苦しさはあの時も感じたな…
男は遠い記憶の糸をたどってみた
旅人とジプシー女が出会った日から同じ幌馬車に乗って、
太陽を追いかけてここへ来た
ついこの間まで移動式のテント小屋を建て
小さな舞台の上でオリエンタルな音楽と
詩の朗読やジプシーダンスや研ぎすまされた
極上の演奏と歌を聞かせる楽士たち
時には、異国の人形使いや曲芸士まで
登場する一座の名前は「マジカルバク旅行団」
と呼ばれている




