太陽の塔に対峙せよ! | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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岡本太郎の代表作 《太陽の塔》

かつて、彼 (?) には対峙する相手がいました。
世界的な建築家・丹下健三が設計した 《大屋根》 です。
すでに設計されていた 《大屋根》 の模型を目にした岡本太郎は、こういったのだとか。

「この世界一の大屋根を生かしてやろう。
 そう思いながら、壮大な水平線構想の模型を見ていると、
 どうしてもこいつをボカン!と打ち破りたい衝動がむらむら湧きおこる。
 優雅におさまっている大屋根の平面に、ベラボーなものを対決させる。」


かくして、 《大屋根》 をぶち破る形で、高さ70mの巨大な彫刻作品 《太陽の塔》 は完成したのです。


しかし、2015年現在、《太陽の塔》 が対峙した 《大屋根》 の姿は無く、一人 (?) でポツンと立ち尽くしてます。

太陽の塔


そこで、そんな 《太陽の塔》 に対峙する建築、
もしくは、空間のアイデアを広く募集するコンペが、この秋、岡本太郎記念館主催で開催されていました。
参加資格は特になし。

結果として、集まったのは150点。
そのうちの入選作を紹介する展覧会 “太陽の塔に対峙せよ!” が、現在岡本太郎記念館で開催中です。

どんな次世代の 《太陽の塔》 的べらぼーな作品が生まれたのか、
と、かなり期待に胸を躍らせて、岡本太郎記念館を訪れたのですが。。。

《太陽の塔》 を樹木のような施設にする案だとか。

隠す


《太陽の塔》 に根を生やしてみるだとか。

根


《太陽の塔》 がゲロを吐くだとか。

下呂


正直、全然ピンと来ない作品ばかりでした。
入選作なのに。


ちなみに、先日、五十嵐太郎氏、椹木野衣氏、
藤本壮介氏ら審査員によって選ばれた最優秀賞作が、こちら↓

太陽の塔  太陽の塔


《太陽の塔》 と対峙するための塔なのだとか。
その塔の中にあるのは、登るための縄だけ。
命がけで縄を何十mも昇り、穴から顔と手足を出し、《太陽の塔》 と対峙するのだそうな。

・・・・・・・・・ふ~ん。


結局のところ、今回のコンペを経てわかったことは、 《太陽の塔》 がいかに傑作なのかということ。
若手のアイディアで、とうてい対峙できるような代物ではありません。
正直なところ、コンペを開催する前に、こうなる流れが予想できなかったのでしょうか。

さんざん若手にお笑いコンテストをさせた挙句、
最後に、特別審査員長のビートたけしが登場して、

「優勝は・・・・・・おいらです」 「殿~!(と言ってズッコケる)」

という、一連のお決まりの流れを思わず連想してしまいました。

応募した人が悪いというよりは、そもそもコンペ自体に無理があるような。
《太陽の塔》 に対峙する作品=解なし」 が正解だったような気さえします。
また、コンペを開催したとしても、その入選作だけで展覧会を開くのではなく、
現役の建築家やアーティストの模範解答も合わせて展示するくらいの保険は必要だったと思います。
ほし (星なし)


そうそうに展覧会を観終え、岡本太郎記念館の庭を見学。
そこから、ふと2階を見上げると・・・

太陽の塔


《太陽の塔》 と目が合いました。

どう考えても、コイツに勝てる気がしません。




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