マジシャンとギャンブラーには常識、一般人には非常識かもしれませんが、トランプは全部で52枚(ジョーカー除く)であります。
そして手というのは一人につき普通は2つしかない。
52枚の中から選んだもらったトランプが当たる確率は1/52。
左右どちらかの手に握ったコインを当てられる確率は1/2。
さて、どっちが不思議でしょう? というのが今回のテーマであります。
理屈で考えれば、1/52のトランプ当てる方が不思議、というのは小学生でもわかりそうなことですが、実際にやってみると、1/2のコイン握った手を当てる方が不思議がられるしウケてしまうのです。
これは何なんでしょうか?
自分にとってはこの逆転現象がすごく魅惑的な主題だったので、ここ半年くらいずっと考えていたのですが、自分で納得できる答えにようやくたどり着きました。
それは…(次回に続く)
というのは冗談として。
結論から言ってしまうとビリーバビリティ(信頼度)のせいだと思うのです。
1/52で当てるというのは、常識的にあり得ない確率です。
つまりビリーバビリティが低い。
そうするとよりビリーバビリティが高い解決方法に意識が向かってしまう。
「わからないけど裏でなんかやってるんでしょ」みたいな感じに。
結果として不思議じゃない方がビリーバビリティが高くなってしまう。
対して1/2の確率というのは、偶然でも充分に起こり得る確率であります。
だから演者が、透視、読心術、その他何でもいいんですが、そういうものを使っていると主張していたとしても「ひょっとしたらあり得るかも」と思ってしまう。
ビリーバビリティが高いわけですね。
ビリーバビリティが高すぎると、ただの「当たり前」になってしまうので、丁度いい塩梅を調整する必要はあります。
催眠術なんでもいきなり「椅子から立てない」と言っても、特殊な場合を除いて相手が立てなくなることはありません。
通常は「目を閉じると気持ちが落ち着く」→「落ち着くと呼吸がゆったりしてくる」→「そうするとリラックスした気分になる」→「リラックスすると身体の力が抜ける」→「力が抜けると立ち上がることが出来ない」と、ビリーバビリティを積み重ねていきます。
詐欺なんかでも、「年利5%の投資案件」→「10%の案件」→「50%の案件」と釣り上げていって、最後に馬鹿でかい投資させてからふんだくるらしいです。真似しちゃダメですよ。
ともあれ信用は小さいことから積み上げろってことですな。
積み上げれば1/52のマジックでも超絶不思議な印象を与えることも可能だと思います。