1月半ばに川べりを歩いていたとき、並びに植えられていた花木をぼんやりと眺めていて、花びらの散り方に違いのあることに気づきました。

椿

一見同じような紅色の花々ですが、花びらが一面に落ちている山茶花(サザンカ)に混じって、花ごと落ちている花木、椿(ツバキ)がありました。

散った椿

花のまるごと落ちるさまが斬首を連想させるとして、椿は武家の家紋に避けられたそうです。

山茶花

ほとんどは山茶花で、ときおり思い出したかのように椿が植わっていました。並べてみると、葉の小さな山茶花と大きな椿では違いがありますね。

山茶花と椿の葉

生垣にされた山茶花が咲き誇り、散った花びらがみせる赤いじゅうたんは華やかです。一方、茶花などで一輪挿しにされた椿も趣があってよいものです。

 

最初に植樹したときに、山茶花の中に椿が紛れたのでしょうか。あれこれと空想しながら散策を続けたのでした。

なぜギリシャ彫刻は裸なのか

『世界のビジネスエリートが身につける教養 西洋美術史』 木村泰司 (2017年 ダイヤモンド社)

世界のビジネスエリートが身に着ける教養 西洋美術史

Amazon売れ筋ランキングの芸術一般でいつも上位にあったので、気にはなっていたのですが、タイトルからビジネスマン向けの啓発書かと思って敬遠していました。ところが、ふと書店で見かけて立ち読みしたところ、衝動買いしてしまいました。

 

美術史のよくある概説書では、各時代の美術様式の説明から始まって、美術家と作品を紹介する構成をとっています。ただそれだと用語がたくさん詰め込まれた教科書のようで、私の頭では記憶に残りません。

 

木村泰司『世界のビジネスエリートが身につける教養 西洋美術史』では、単なる作品紹介に終わらず、その作品が生まれた背景まで説明されています。たとえば本書によると、古代ギリシャ彫刻が美しい男性をかたどっているのは、神を喜ばせるためでした。当時は美男子コンテストまであったそうですね。その背景として、男性には兵役の義務があって、国防の意味から肉体美が称えられた、というわけです。芸術作品はいつの時代も社会の中から生み出されるという、至極真っ当なことに気づかされます。「ビジネス」を意識した内容が美術の専門色を薄め、読みやすくなっているように感じられました。

 

ただ「美術は読むものである」という著者の主張は納得できるものの、あくまで見方のひとつであるように思います。また近現代美術の分量が少ないので、現代アートの続編をぜひ出していただきたいですね。

 

電子書籍リーダーのキンドルを買いました。Kindle Paperwhiteという防水モデルです。きっかけは入浴中の読書です。

Kindle Paperwhite

これまで入浴中は文庫本で読書していたのですが、気を付けていても、何度かポチャッとお湯に落としてしまい、本がふにゃふにゃに。濡らさないように本の背をそっと支えながらページをめくるため、不安定になってしまい、注意しているつもりがつい、やってしまうのでした。

 

そこでキンドルです。濡らしても気にならないし、軽いので持っていて楽です。ただ画面がくもることがあるので、メガネ用のくもり止めを使っています。

 

気になることはふたつあります。画面の拡大がうまくいかず、漫画の場合は文字が読みにくい気がします。また、モノクロなので、カラーの誌面が楽しめません。

 

画面の色は真白ではなく、少しクリーム色がかっていて、本の紙を思い起こします。読書のはかどる便利な機能が詰まっていますが、案外気に入っているのは、そのことだったりします。

 

 

美術館を裏方として支える人たちの日常

『ミュージアムの女』 宇佐江みつこ (2017年 KADOKAWA) 

ミュージアムの女 宇佐江みつこ

美術館で働く人といえばまず学芸員が思い浮かびますが、他にも施設管理や事務、清掃などさまざまな人たちがいます。美術館に行って一番会う人たちは、展示室を持ち場にされている監視員の方々でしょう。

 

監視係は作品の保護のほか、来場者に気持ちよく鑑賞してもらうために心を配る、大切なお仕事です。その働きぶりが美術館の第一印象になりますし。

 

宇佐江みつこ『ミュージアムの女』は、岐阜県美術館で実際に働く監視員さんが、SNSに投稿していた四コマ漫画をまとめたものです。猫人の監視員によって、美術館の日常が淡々と綴られています。コラムでは展示室内でのNG行為や監視員からみた学芸員の姿などに触れられていて興味深いです。

 

監視員をテーマにした本は、これまでほとんどなかったのではないでしょうか。肩肘張らずに読めますので、美術館により親しみの持てる一冊としてオススメです。

 

このブログでは、本などの感想を掲載しています。内容に触れることがありますので、気になる方はお読みにならないでください。あくまで限られた経験に基づくいち読者の感想であって、本の価値そのものを毀損しようとする意図はありません。