うっかり屋さんも安心

シューリッヒ水やり器

旅行などで家を空けるとき、困ることのひとつに植物の水やりがあります。そういう場合に役に立つのが自動給水器です。

 

私はシューリッヒ(scheurich)製の自動給水器を使っています。ドイツの園芸用品メーカーで、おしゃれな鉢カバーも作っています。写真は鳥をかたどった「バーディー」。こちらは大と中サイズで、他に特大サイズも持っていますが、相当大きいです。他にカエルの「フロッギー」があります。色は写真の緑のほか、オレンジ、青、紫、透明があります。

シューリッヒ水やり器

構造は単純です。プラスチック製の本体の下に素焼きの突起部があり、土に挿して水を入れておくと、適度に水分が染み出し、用土の乾燥を防いでくれます。自宅を空けるときに使うのはもちろん、水やりを忘れたときの保険として常用しています。特に暑い時期になるとすぐに土が乾くので、これを挿しておくと安心ですね。

 

ただこの製品、困ったことに品質にばらつきがあります。説明書きでは4日間水やりの必要なしをうたっていますが、ものによっては半日で水がなくなります。そういうとき、私はプラスチックの本体と素焼き部分の継ぎ目に補修用テープを巻いて様子を見ます。それでも不十分なときは、プラスチック同士の接合部分もテープで留めてしまいます。多少みっともなくなりますが、使わずに捨ててしまうのはもったいないですし。

 

プラスチックの見た目は少々安っぽいものの、半透明なのでかえって目立たなくていい感じです。何よりかわいいです。今どきは百均でペットボトルを使った給水器もありますが、このような心の和むグッズがあると、水やりが楽しくなっていいですね。

やきもので暮らしを豊かに

知識ゼロからのやきもの入門

朝ドラの「スカーレット」をご覧になられている方も多いと思いますが、主人公は信楽焼の女性陶芸家でしたね。信楽焼といえばタヌキの置物がまず思い浮かびます。もちろんタヌキばかり作っているわけではなく、やきものとしての信楽焼の特色ってなんだろうかと疑問に思ったとき、本書のような指南書がとても役に立ちます。

 

松井信義監修『知識ゼロからのやきもの入門』では、信楽を含め、全国の有名なやきものが産地別に紹介されています。信楽焼の特徴をみると、焼き締めることでざらざらした土肌に赤い焦げ目や白い斑点が入り、「土のよさを活かした自然の美」とあります。信楽焼の「焼き締め」はやきものの代表的な4つの種類、土器、陶器、磁器、炻器(せっき)のうち、炻器にあたります。やきものは陶磁器とも呼ばれますが、陶器と磁器の違いはわかっているようでわからなかったりしますよね。本書ではこういった疑問に答える基本的な知識や代表的な技法、陶芸家が紹介されているほか、手入れ方法まで載っています。

 

本書のよいところは、内容が絞り込まれていることです。紹介されているやきものは必要最小限で、説明文は短く簡潔です。挫折することなく、最後まで楽しく読むことができます。またA5の教科書サイズで薄いので、食器を買いに行く際に持って行き、電車内で読むのもおすすめです。ただ洋食器は載っていませんのでご注意ください。

 

やきものは日常生活で最も身近な工芸品です。実用面からプラスチックの食器も悪くはないですが、本で知識を身に付け、自分で選んだお気に入りの器で食事をすれば、さらに味わいが増し、暮らしが豊かになるのではないでしょうか。

動物っていいね!

獣医さんがえがいた動物の描き方

ネコが描きたくなり、参考書がほしくなったので、さっそく買ってきました。子どものころは動物の図鑑や写真集をよく眺めたものですが、大人になってからは動物をまじまじと観察することがなくなっていました。

 

鈴木真理『獣医さんがえがいた動物の描き方』にはイヌやネコをはじめ、いろいろな動物の骨格や動きが紹介されていて、動物らしいしぐさを学ぶことができました。

 

ヒトと動物との違いについても書いてあったので、理解しやすかったです。例えば大概の動物では、白眼がほとんど見えません。ヒトは白目があることで目線を読み取りやすく、表情豊かに感じられます。一方、動物はほんの少ししか白眼が見えないだけに、白眼をあえて描き加えることで視線をはっきりさせ、表情を表すことができます。

 

四本足で歩く動物って、常につま先立ちなんですね。イヌやネコは指が4本だけ地面に着いていて、ウシは2本、ウマは1本しか着いていません。これまで感覚的な捉え方しかしていなかったところ、次からはきちんと意識して描くことができるようになりました。

 

本書で扱っているのは線画だけで、彩色については触れられていません。また動物の構造についても必要最小限のことしか書かれていません。より詳しく知りたくなったときは、その動物を自分で調べ、実際に観察していくことになります。でも、それが自然なやり方なのでしょう。

 

筆者は獣医さんだけあって、生物学的な説明は確かですし、作例からも動物に対する愛情が感じられて、ほほえましく思いました。動物にいっそう親しみがわき、描きたい気持ちにさせてくれた一冊でした。

カップめんのための「カップメン」

とある展覧会のグッズ売り場で見つけ、絵はがきを買うつもりが、代わりに手に取ってレジに並んでしまった、カップメンという品物を紹介します。カップめんのフタを閉じておける便利グッズです。

カップメン 1

アッシュコンセプト(h concept)という会社の製品で、デザイナーの馬渕晃氏が手掛けられています。「アッシュ」はHのフランス式発音ですね。

 

カップメンにフタを押さえてもらっていると、熱によって次第に腕が白くなり、一生懸命さが伝わってきます。ちなみにお尻の方で押さえるのもアリです。使わないときは、座らせておくこともできます。

カップメン 2

写真の品はオレンジですが、色違いでピンクとグリーンがあるほか、カップウーメンという女性バージョンもあるようです。

 

出来上がるまでの3分間が楽しくなりますね。こういう遊び心があって、かつ実用的なものは大好きです。

「アート」ではなく「アートを見る」に焦点

アート鑑賞超入門

「アート」に関する本はたくさんありますが、「アートを見る」ことに注目した本はあまりみかけません。藤田令伊『アート鑑賞、超入門! 7つの視点』は、美術の鑑賞方法に焦点を当てた興味深い本です。

 

本書によれば、美術鑑賞には知性的見方と感性的見方の2通りがあります。以前ご紹介した木村泰司『世界のビジネスエリートが身につける教養 西洋美術史』は知性的の方ですね。知性的見方は知識的見方とも違っています。知識ばかり増やしてしまうと、自分で考えることを止めてしまって、かえって鑑賞の妨げになることがあります。知性的見方とは、自分の頭でしっかりと考えることなのです。確かに作品の説明文を読んで、作品を見た気になることってありますよね。作者の意図は尊重しながらも、自分の発想で見る。自分とは異なる意見を尊重し合うことで、社会の多様性を支えていくという立場です。

 

一方、作品から受ける印象や感情を重視する感性的見方は、知性的見方よりも低く見られがちですが、知識偏重な社会に生きる現代人にとって、実は大切な体験方法であったりします。美意識をビジネスにもっと活用すべしという意見も近年高まっています。ものを買うときに迷ったら、好みのデザインの方を選ぶことは普通ですよね。

 

本書では主にアメリカで重視されている、対話による美術鑑賞教育も紹介されています。自主性や表現力、他者への共感力を高める鑑賞教育を行っている学校は、学力も上がっているそうです。

 

図像学やイコノロジーについてはほとんど触れられていませんが、研究書ではありませんし、あくまで「超入門」です。本書を参考に、美術館に行って知性と感性を育み、さらには自分の生き方に主体性をプラスしていくことができればうれしいですね。