・送辞・・・ | 日本哭檄節

日本哭檄節

還暦を過ぎた人生の落ち零れ爺々の孤独の逃げ場所は、唯一冊の本の中だけ・・・。
そんな読書遍歴の中での感懐を呟く場所にさせて貰って、此処を心友に今日を生きるか・・・⁈

 別に、先を競う必要も無いと想うのだが、毎年、この時季になると、夕方のNews で、

『何処何処も、けふ、開花宣言が有りました・・・!』

と、然も、地面に落ちて居たダイアモンドの小粒か何かを、やっと探し拾ったような燥いだ声で宣うTopic を耳にして、その度に、

『誠・・・、お平和なお国だわなあ・・・!』

と、内心、毒吐きながら聴いて居る捻くれジジイなのだが、そのダイアモンドの小粒が、我が

『日向宮崎の標準木・・・』

でも見つかった(=咲いた)と、けのふの夕方のローカルNews で、燥ぎながら報じて居た・・・(笑)

 

 ほとんどの日本人の方々にとっては、桜と云えば、

『ソメイヨシノの花の咲きっぷり・・・』

と相場は決まって居るのだと想うが、九州、薩摩の緑濃き(=緑しか無い)山の中に育ったジジイには、あの豪勢な咲きっぷりの花には、どうしても

『些かの抵抗感・・・』

を否めないままに、半世紀以上を過ごして来たのが、それは、今も変わらぬ感懐である・・・(汗)

 

 こんなところにも、

『捻くれ者の本性・・・』

が、隠されて居るわなあ・・・(笑)

 

 ジジイに云わせれば、桜と云えば、このソメイヨシノの、これ見よがしの

『如何にも威張った咲きっぷり・・・』

よりも、一週間か10日ばかり先に、濃い緑の山裾に、彼方此方に、遠慮気味に咲く、

『山桜の花・・・』

こそが、春到来を教えてくれる

『開花宣言・・・』

なのだが、昨今は、温暖化の影響で、

『山桜の方が後から咲く・・・』

なんて年も珍しく無くなったのは、まったく心外に耐えないのだが・・・(汗)

 

(画像は、ichihara-reien.or.jp より拝借)

 

 と・・・、ここで・・・(汗)

 

 けふは、そんなジジイのボヤキを綴るつもりで始めた駄文綴りでは無かった訳で、この、毎年恒例の

『平和な開花宣言競争・・・』

のNews を聴くと、半世紀以上が経った今でも、この老い耄れ脳に、

 

≪桜の花も、咲き綻(ほころ)びようとする、今日、この佳き日に・・・≫

 

と云う文言が、自然と甦って来てしまう・・・(笑)

 

 そして、これに続いて、

 

≪晴れてご卒業なさる、お兄さん・・・、お姉さん・・・、

   ご卒業・・・、おめでとうございます・・・!≫

 

と続くのだ・・・(笑)

 

 今も、然程、時期はズレて居ないと想うのだが、ジジイ等が小学生の頃の卒業式は、確か、3月の23日か24日で、つまりは、丁度、今頃だった訳だ・・・。

 

 そして、その頃の校門脇に植えられた桜(=ソメイヨシノ)の開花は、今のように温暖化も激しく無かったから、丁度、この時期に重なって居たのだろう・・・?

 

 計算すると、昭和44[1969]年の3月の、我が母校のド田舎小学校の木造講堂(=体育館など、まだ無かった・・・笑)で挙行された、一年先輩の卒業生を送る卒業式での、

『在校生、送辞・・・』

の、冒頭の一節である・・・(笑)

 

 特段、出来(=成績)が良い在校生(=5年生)でも無かったのは、本人が誓って証言するが、ただ、

『声がデカい・・・!』

と云うだけで選ばれた在校生代表は、この送辞を、何度も何度も、担任の先生の前で練習させられ、結果、脳に刷り込まれて今に残って居ると云う訳だが、卒業生が舞台の前に座り、その後に座る4、5年生の最前列の左端の椅子に座らせられたジジイは、式次第が進むに連れて、自分の出番を、まるで、死刑台に昇る階段の段数を数えるように、緊張が上昇して行って居たと想う・・・(笑)

 

 そして、卒業証書の授与や、来賓のお偉方の

『贈る言葉・・・』

が幾人か述べられ、いよいよ、ジジイの出番になるのだ・・・(笑)

 

 進行を与る教頭の、

『在校生代表・送辞・・・』

の声を聴くと同時に、前日行われた予行演習に倣って、直立不動で、声だけは大きく『ハイ・・・!』と応え、先生たちが据わる机の列と、右側に並ぶ卒業生の椅子の列の間を、ぎこち無く歩み進み、最前列を過ぎた辺りで、直角に右に曲がり、そこで、一旦停止して、講堂右側に並ばれた来賓席に向かって一礼する・・・(笑)

 

 校長や来賓殿々は、舞台に昇って中央の演台に立つし、当然、音響は悪いとは云え、マイクも設えて在るのだが、在校生の送辞は、

『上から眼線・・・』

など失礼に当たるから、同上眼線の床上を、中央まで進み、一度、舞台中央に掲げて在る

『国旗、日の丸・・・』

に向かって、恭しく一礼した後、まるで軍隊式のような

『回れ右・・・』

をして、卒業生に対面する・・・(笑)

 

『声のデカさ・・・』で御指名を受けるのは、この

『マイク無し口上・・・』

が、主原因なのである・・・(笑)

 

 ジジイの、その所作に呼吸を合わせるように、前列に座って居る卒業生も、その後に並ぶ在校生も一斉に起立する中で、ジジイが、卒業生御一同に向かって一礼し、深呼吸を一つして(?)の、徐(おもむろ)に、先の

『桜の花も、咲き綻びようとしている・・・』

と云う云い出しの、口上の読み上げが始まった訳だ・・・(笑)

 

(画像は、hosen.jp より拝借)

 

 勿論、その口上文は、学校側が練った文章だった訳で、それを棒読みすれば善いだけの話(=だから、成績は不要・・・笑)だが、そう云いながらも、この送辞と云うヤツは、なかなかに難しい芸当でも有る訳で・・・(笑)

 

 と云うのは、この口上の中で、途中に、在校生が、

『一斉唱和・・・』

をしなきゃならない箇所が、何カ所か創ってくれて在る・・・。

 

 例えば、

『力を合わせて・・・、一生懸命頑張った、秋の大運動会・・・!』

とか、

『楽しかった・・・、一日遠足・・・!』

とかの、一年間の学校行事を想い起こさせる口上の処に来ると、一斉起立して居る後ろの在校生も、ジジイの口上に合わせて、一呼吸措いて、

『秋の大運動会・・・!』

とか、

『一日遠足・・・!』

とかを、大きな声で、一斉唱和を入れ噛ませ無ければならないのだ・・・(笑)

 

 時間にすれば、モノの3分か5分しか無いお役目だった訳だが、その口上を述べ終えると、今度は、始める時の所作の

『巻き戻し行動・・・』

を執って自席に戻って、お役御免・・・(笑)

 

 だが、一仕事終えた安堵感に浸る間も無く、今度は、

『最優秀(?)卒業生代表・・・』 (=だったはずだが・・・笑)

が、

『最後を〆る口上(=答辞)・・・』

を宣う為に演壇に上がるから、直ぐに、一斉起立を強いられるし、式典が無事終了すると、最早、

『最上級生・・・』

の立場に立たされた五年生は、会場片付けのお役目を宛がわれるし・・・(笑)

 

 否々、こうして振り返ってみると、案外、あのド田舎小学校の、木造校舎や木造講堂の佇まいが、懐かしく甦って来るのだが、五年生の時の

『一年先輩の卒業式・・・』

は、こうして憶えて居るのに、肝心の自分の一年後は、さっぱり憶えて居ないのは、どうしたことだろう・・・(笑)

 

 にしても、この産まれ着いての

『地声のデカさ・・・』

故に、想わぬところで、何度も

『貧乏くじ・・・』

を引かされての、面白い人生だったわなあ・・・(笑)

 

 最後に、駄作を一句・・・(汗)

 

≪ オイヨシノ 俺も居るぞと やまざくら・・・≫

なんちゃって・・・(笑)

 お粗末・・・(汗)

 

 またけふも、要らぬ感懐に浸っただけの駄文に付き合って頂いて居りましたら、心からお詫びを申し上げます・・・(謝&拝)