・独り旅・・・(奈良・柱の穴編) | 日本哭檄節

日本哭檄節

還暦を過ぎた人生の落ち零れ爺々の孤独の逃げ場所は、唯一冊の本の中だけ・・・。
そんな読書遍歴の中での感懐を呟く場所にさせて貰って、此処を心友に今日を生きるか・・・⁈

 大型連休9日目(=5月5日)の朝、小生は、三重県鈴鹿市から国道25号線を辿って

「奈良市・・・」

に入った訳だが、その主目的は、このブログでフォロワーになって頂いた縁で、

奈良在住のちえちゃんさん(=画家・植村隆久を応援する妻 )」

から教えて頂いた

「奈良・薬師寺東塔の大修理・・・」

を、何としても

「この眼で観ておきたい・・・!」

と想ったからだった・・・。

 

(画家・植村さんの作品の話は、5月5日の「一湯頂戴・・・!(やっと出番の・・・)で綴ったが・・・)

 

 その主目的の「薬師寺・・・」に着く前の道路からも、正門右側に建つ

「東塔・・・」

は、一目で足場に覆われて居ると判る「四角い建物・・・」にしか観えない・・・。

 午前中も、まだ11時前だったから、駐車場には、まったく苦労せずに入場出来たが、東塔見学を申し込んだ人は多くて、貰った整理番号は、

「32842番・・・」

だった・・・。

 

 

 何処から始まった番号なのかは識らないが、この整理券番号の

「末尾3桁、100番区切りずつ・・・」

が、約30分ごとに呼び込まれて、入り口でヘルメットを被らされて

「国宝&世界遺産・・・」

の東塔を囲う足場の7階までを、何も解らず登らされる・・・(笑)

 

 そして、そこで、この大修理の趣旨と模様を、何とも

「小慣れた名調子・・・!」

で滔々(=東塔のシャレのつもり・・・汗)と語る

「薬師寺のお坊さんと思しきお人・・・」

の声を聴きながら、兎に角、

「目線の高さの薬師寺東塔・・・」

とご対面させて貰える・・・。

 

 

「木造大好きジジイ(=建築屋・・・)」

の小生としては、

「兎に角、大感動・・・!」

以外の何ものでも無い・・・。

 何せ、

「薬師寺で唯一創建当時、1300年前より現存している建物・・・」

であり、平成21年から

「解体大修理・・・」

が行われて居り、いよいよ

「令和2年(=来年)の春・・・」

にはこの大修理が完了し、囲いが払われて

「その麗しい御姿・・・」

が、再び古都奈良の平野にその姿を聳えさせるのだが、この塔を、

「平行目線・・・」

で、間近に視れるのは、

「この期を逃せば、数百年先まで観れない・・・!」

のだから、小生が、

「この次・・・」

を観れる保証は、

「絶対無い・・・!」

と、説明のお坊さんと思しき人が、名調子で何度も云って居た・・・(笑)

 

 

 どうだろう・・・!

 当に、

「震えが来るほど、そそられる美しさ・・・!」

だと、小生は、スピーカーを通して聴こえる名調子など耳に入らぬ態で、観惚れ続けた・・・。

 

 

「四辺同寸の屋根構え・・・」

を「方形(ほうぎょう)」と云うが、その頂部には、

「相輪・・・」

と云う金属(=主に銅)錺(かざり)が載せられ、一番上部には、

「仏舎利・・・」

と云う

「釈尊の骨・・・」

が治められ、その下に

「水煙(すいえん)」

と云う錺が設けられるが、今回の大修理では、この水煙が

「新調・・・」

されたのだとか、確かNewsか何かで云って居たような・・・?

 

 

 こんな目線で、この美しい塔を愛でられるとは、

「ちえちゃんさん、教えて下さって、本当にありがとうございました・・・!」

と云うべきだったが、その段階では、そんな殊勝な気持ちも忘れるほどに、興奮していた・・・(汗)

 

 改めて、

ちえちゃんさん、ありがとうございました・・・!

 

 約30分の

「東塔、大修理見学ツアー・・・」

を終えれば、観光客でごった返す名刹になど、もう用は無い・・・(汗)

 西に構える、あの

「西岡常一棟梁の名人仕事(=西塔・・・)」

は、畏れ多くも下から眺めて済ませ、

 

 

 

本堂は、順番待ちの間に早々駆け廻って拝観して居たから、早くも満車に近くなった大駐車場に戻ると、直ぐに車を

「東大寺・・・」

へと向かわせた・・・。

 

 流石に、

「奈良の都の中心地・・・」

は、薬師寺のように簡単には行かなかった・・・。

 奈良公園の周辺は、

「車、車、車・・・×3乗・・・!」

と云うほどに、車の大洪水に見舞われて居り、空いた駐車場など、

「そんじょ其処ら・・・」

には、見当たりもしない・・・。

 だが、運善くか悪くか、前が詰まって居て左折した

「奈良県庁の裏辺り・・・」

の細い筋の一画で、偶然一台分空いた有料駐車場のスペースに、本当に偶然、駐車出来る

「良縁・・・」

を得られた・・・。

 

 そこからでは、東大寺まで

「歩いて2、30分程度か・・・?」

と云う距離だが、この大混雑では、それくらいの

「歩いて・・・」

は、已むを得ない・・・。

 天気も快くて、日差しも強くなって居たが、小生は、

「どうせ、直ぐに済むのだから・・・!」

と云う程度の気持ちで、

「前金500円・・・!」

をオバちゃんに渡すと、そそくさと奈良公園への路を急いだ・・・。

 

 東大寺大参道の左側の筋道を、日陰を探しながら歩いて行くと、鉤形に曲がった路地の窪地の木陰に、早速

 

 

奈良公園の

「大地主ご一族・・・」

のご子息が一頭・・・(笑)

 

 ご一族のこの鷹揚さ(=逃げもしない・・・)を観ると、

「おお、奈良に来た・・・!」

と云う気にもなる・・・(笑)

 

 だが、この日の奈良公園一帯は、この大地主ご一族にも、何やら

「人間大洪水災害に見舞われたような天変地異・・・」

に感じられて居るらしく、予てなら

「我が物顔・・・」

で延し歩いているはずの

「鹿一族・・・」

が、ほとんど延し歩いて居ない・・・。

 

 

 

 やっと見つけた一頭も、チェーンで囲まれた植栽の中に居残って、

「この線(=チェーン)から入ったら、いけないよ・・・!」

と云う顔で、人間様と一線を画して居るように見えた・・・(笑)

 

「オイオイ、これじゃあ鹿センベイ屋さんが、上がったりだろうなあ・・・(笑)」

と想いながら、公園西端の大仏殿のチケット売り場に並び、いよいよ

「人間大洪水・・・」

の濁流に身を任せる・・・。

 

 

 大仏殿が臨める回廊に詰まった人波に並み並ぶと、左手に、目指す建物がその威容を現す・・・。

 その人波に流されて運ばれて、やがて大仏殿の中へ・・・。

 

 この大仏様に対面するのは二度目では有るが、前回参詣したのは、

「確か、30年も前・・・⁈」

だったと憶えるし、その時は、ただ

「フーン・・・!」

と想っただけだったような・・・(汗)

 

 

 大仏殿の中は、当に芋の子を洗うような人波で、

 

 

 

小生が、今回

「敢えて観に来た・・・!」

はずの

「大仏殿の大屋根を支える二本の大梁・・・」

は、上を見上げてガックリ・・・(笑)

 何と一面を格天井(ごうてんじょう)に覆われて居て、望めるも何も無かったのだ・・・(笑&汗)

 

 考えてみれば、「当然の事・・・」なのだが、この当たり前の事を、想い浮かばないとは、我ながら迂闊と云うしか無い・・・(笑)

 小生が、自分を

「三流建築士・・・」

と嗤う由縁でもある・・・(笑)

 

 だが、内心ガックリしながら出口へ向かった小生の眼には、大仏殿に建つある一本の柱を先頭に、親子(=父児)が手を繋いで並ぶ不思議な光景を眼にして、つい立ち止まった・・・。

 

 

 大仏殿名物として名高い

「柱の穴・・・」

と、そこを潜るべく順番を待つ希望者たちの列だと、一目で判ったからだが、この穴、正確には

「幅が約30cmで、高さが37cm・・・」

有るのだと云う・・・。( 後=で調べたのだが・・・)

 従って、

「小学生程度の子供・・・」

までは、そう苦にせずに通り抜けられるのだが・・・(笑)

 

 ところが、これが、

「大の大人・・・」

になると、そう簡単な技と云う訳には行かないような・・・?

 

 観て居ると、子供の手を引いた

「大人たち(=ほとんど父親・・・!)」

もたくさん並んで居るが、いざ自分たちの順番が来ると、潜るのは手を引かれた子供たちだけで、肝心の大人たちは、誰もそれに挑戦しようとはしないで、反対側に立って、穴を潜って出て来る我が子を、手にしたスマホで待ち構えて居るだけだ・・・(笑)

 

 そうなると、この励爺の

「悪戯心・・・」

が徐に頭を擡げて来るのを、当の本人が抑えられなくなって来た・・・(汗)

 

 出口側から、頭を覘かせてキャーキャー云いながら出て来て、嬉しそうな顔をする子供たちを眺めながら、穴の大きさを目測すると、

「幅が、30cm少々で、高さが40cmくらいか・・・?」

と踏んだ・・・。

「と云う事は、腹這いに這い出すことは出来ないな・・・!」

と読んだが、かと云って、横向きに滑り出るのも、

「少し難しそうな寸法なような・・・?」

と云う気もする・・・。

 

 大方の大人たちは、この目測勘案で、

「止めて措こう・・・!」

と判断してしまうのかも識れない・・・。

 況してや、この期に及んで、

「淑やかな女性・・・(笑)」

の方々は、

「此処に来て、這いつくばって『あられも無い姿・・・』など、こんな処で曝せないわ・・・!」

となってしまうだろうし、

「もし潜れなかったら、太っていると想われてしまうかも・・・⁈」

とも考えるから、当然、そんな度胸は表せない・・・(笑)

 

(長くなったので、「その2」を綴る・・・)