年に一度のヴァイオリンの演奏会がありました。

 

当日に向け、調子が乗ったり乗らなかったり、プロであれば許されないのでしょうけどその日その日の自分のコンディションで音はどうしても変わるのですが、どういう状態であれ自分と向き合いながらできたので、本番はやはり緊張しましたが楽しんでやることができました。どんな状態でも臨機応変に対応してくださる先生には本当に感謝です。

 

今回はモーツァルトのソナタをピアノ伴奏を依頼して弾きました。一緒に演奏するのがピアノでも弦楽器でも、アンサンブルは楽しくてたまらないので大好きです。





モーツァルトの作品は当時の流行もあり比較的優美で軽快な長調の明るい曲が多いですが、今回演奏した曲は当時22歳だったモーツァルトの母アンナが旅先のパリで亡くなった時期に書かれたとされている曲で、軽快とは対照的な珍しく単調の劇的な曲でした。

 

異常な感覚能力と音の記憶力を持ち幼い頃から誰もが認める天才であっても、モーツァルトが生きた時代はフリーランスとして生きていくことは非常に困難で、苦労の末、偉大な音楽家は35歳の若さで亡くなりました。

 

自身については亡くなる3年前の手紙にこう書かれていたそうです。

 

「ヨーロッパ中の宮廷を周遊していた小さな男の子だった頃から、特別な才能の持ち主だと、同じことを言われ続けています。目隠しをされて演奏させられたこともありますし、ありとあらゆる試験をやらされました。こうしたことは、長い時間かけて練習すれば、簡単にできるようになります。ぼくが幸運に恵まれていることは認めますが、作曲はまるっきり別の問題です。長年にわたって、僕ほど作曲に長い時間と膨大な思考を注いできた人は他には一人もいません。有名な巨匠の作品はすべて念入りに研究しました。作曲家であるということは精力的な思考と何時間にも及ぶ努力を意味するのです。」

 

モーツァルトが意図した通りの世界観を表現する技術レベルには程遠いですが、モーツァルトお得意の半音階や、ピアノとヴァイオリンのユニゾンの美しさの中には、素人ながら「精力的な思考と何時間にも及ぶ努力」がたくさん詰め込まれている気がします。

 

お陰で、モーツァルトの繊細で美しい世界に感動すると共に腕には筋肉がつき、日頃の練習不足を痛感することもできました
基礎的な技術も必要ですが、負担を軽減できる上手な体の使い方ももっと覚えていきたいです。

 

ひとまず去年の演奏会から一年、続けられてよかったです。

 

台風の怪しげな天候にも関わらず駆けつけてくれた友人たちにも感謝です。