初めての「熱」 | パパだってやるんだぞ

初めての「熱」

今日、初めて太樹が熱をだした。

夕食を作ろうと思ったら、太樹の機嫌が妙によろしくない。何か体が熱いので検温したら、デジタル体温計の液晶には「38.81」の表示。

「う、こりゃまずいぞ」とパパは思った。こういう時に限ってママは出張で夜まで戻らない。病院へかつぎこんだり、救急車を呼ぶほどではないけれど、適切な処置をしなくては、と焦燥感ばかりが募る。

パパも朝から熱っぽかったので風邪かなと思っていたけれど、それが太樹にもうつったようだ。

お昼ご飯の準備をしているときに、太樹がいつになくぐずり、やがて大声で泣き始めた。今思えば、これが熱をだす前兆だったのだろう。そうとは知らないパパは、めそめそと泣く太樹に説教をしたのだった。

「ごめんな、太樹。もっとはやくパパが気づくべきだったよ」とこっちがめそめそしたくなる。

とりあえず下痢の症状に備えて、ポカリスウェットをいつもより多めにあげる。布団に寝かせても起き上がってくるので、しばらく抱っこすることにした。首の後ろがかなり熱い。

間が悪いというか、何というか、今日の夕食は「豚の角煮」がメインである。豚肉をたっぷりと酒につけてから、パパの場合2時間半は煮る。手間がかかる。太樹の面倒を見なくてはならないし、とりかかった角煮を途中で放り投げる訳にもゆかぬ。洗濯物もたたまなくてはならないし、株価の変動もチェックしなくてはいけない(これは嘘)。

まるで、阿波踊りしながら、縫い針の穴に糸を通しつつ、般若心経を読んでいるような、無茶苦茶な感じになってくる。

でも苦労の甲斐あって、ママが帰宅する頃には太樹の機嫌は少し良くなり、お蔭で食欲もでてきた。太樹には、できあがった角煮を細かく刻んで卵とじにして豆腐をまぜ、トロロご飯とバナナと苺をあげた。これをぺろりと平らげたので、パパもママも安心。

やがてくうくうと寝始めたので、この調子だと明日の朝までには熱はひいているだろうと推察される。

ふう。