8月15日 土曜日

 A氏がご飯を作って、と言うので買い物に行って、悩んだ挙句に親子丼にする。相当久しぶりに、親子丼成るものを作った。家庭科の調理実習振りかも。ちゃんとした作り方なんて忘れているので、なんとなくのイメージで、たぶんこれでいいんじゃないかな、とあやふやな感じで作る。それでも出来ちゃうのでいい。
 そこで、作ってみて驚愕(おおげさ)したのだけど、親子丼は、みりん入れて、だし醤油入れて、砂糖入れて、切った鶏肉入れて、切ったたまねぎ入れて、三つ葉入れて、卵落としたら出来上がってしまう。全部の工程で10分もかからない。
 これは立派なファーストフードだな、とその時は思ったけれど、家庭で作れるものなんて大体そんなものかもしれない。もともと早く作れるものに、改めて手を加え、手間をかけて、時間をかけて、その対価においしさを得る。それが、レストランであったりするのだろう。でも、その時間や、手間の対価として得られるおいしさ、と言うものに金額が見合っているのかと考えると、やはり高いのではないか、と思うことも多い。
 だから、本当にいいところは、おいしさに加えて時間や空間やサービスを追加してくれる。まあ、そのおかげでさらに見合わない金額を払わなければならないこともあるのだけど。

 では演劇はどうだろう。大体において、結構な時間と手間をかけて作られていると思うけれど、安いだろうか、高いだろうか。そもそも、当たり外れの振れ幅が、大きいし、映画みたいにどこでもは見られないし、料理みたいに食欲、人間としての欲求にかかわることでもないし、無くても困らない。非常に不自由な分野だな、と感じる。
 そういえば、演劇におけるファーストフードってなんだろう。あるかな?