
散歩の途中
ふと、足を止めて珈琲店の扉を開く
ずらりと並んだ珈琲カップにソーサー
ゆるやかに流れる聞き覚えのあるクラシック曲
一杯の珈琲七百伍拾円
黒い液体は、口から食道を経て胃へと注がれてゆく
すると時間は、次第に歩調をゆるめ、僕を眠りに誘う
僕は、眠るまいと、虚ろな頭で思考を巡らす
僕は知っているよ
時の流れを緩慢に思うのは錯覚だって事
珈琲が、冷えた体を温めた、一時の安堵
でも、もしも本当に、時間がゆっくり流れているとしたら?
光速で移動している!?
実はこの珈琲店は宇宙船で、僕はとっくに大気圏を突き抜けて宇宙の彼方を突き進んでいる
だとしたら、なんて格安の宇宙旅行
眠気なんて、あっという間に吹き飛んだ
でも、ここで不安が一つ
僕は、元いた場所に、無事に帰れるのだろうか?
珈琲宇宙船は、今もクラシックの調べとともに、宇宙を進んでいる
10月10日
天王洲アイル、銀河劇場にて
市村正親主演『KEENキーン』鑑賞
その後
重力/Note主催
鹿島くん宅へ