結婚の儀式が始まった(2006年1月24日、午後11時ごろから延々と...) | ナマステー! *アーティチョークのインド見聞録*

結婚の儀式が始まった(2006年1月24日、午後11時ごろから延々と...)

ホテルMAYFAIR LAGOONの広場の中央に設置された、絨毯敷きで天蓋付きの四角いスペースにお坊さんがいて、儀式のお供えや火を焚く四角い炉が置かれ、そこに花嫁の父が座ると、お坊さんは父の指に、藁のような植物で出来た指輪をはめた。
赤いサリーを着て、きらびやかな金糸のヴェールをまとった花嫁が登場すると、楽士の演奏が始まり、ほら貝が鳴らされて、長い長い結婚の儀式が始まった。親戚の者たちはその周りを囲むようにして椅子に座り、儀式を見守る。
天蓋付きのステージ

お坊さんを前にして並んで座った花嫁と花嫁の父は、揃ってひどく神妙な面持ちである。先ほどの花嫁のあの輝くような笑顔はどこへいってしまったのだろう。私は、よっちゃんと、よっちゃんのお父さんのこんな真剣な表情を見たのは初めてである。いつも穏やかでにこやかな表情をしている二人なのだ。二人が大変に緊張しているのは間違いない。が、私は二人の表情を拝見してこう思った。結婚式に臨むにあたり、娘として、これまで慈しんで自分を育ててくれた父を想う。同じく、父として、可愛い娘の将来を想う。その二人の心中を察するに、この状況で父と娘がにこやかに笑うことは難しいのであろうと。
儀式

お坊さんは、まず花嫁の指にも藁のような植物で出来た指輪をはめた。お坊さんが花嫁の父に次から次へと花びらだの木の実だのを手渡すと、おぼうさんの指示通りそれをお供えに降りかけたり、炉にくべたりする。おぼうさんはそのあいだにも絶えずお祈りを唱えながら、花びらをむしってはお供えに降りかけたり、金色のスプーンですくった水を降りかけたり、両手を使っていろんなしぐさをしたりと実に様々な動作を連続して行なう。しばらくはこういった儀式が続くが、二人の神妙な表情は全く変わらない。
儀式
つぎにお坊さんは、花嫁の右手に何か小さな物を握らせておいてから、金色の壺のうえにココナツのような木の実をのせて、その上に花嫁の握った右手をのせた。つぎにお坊さんが花嫁の父の右手中指に何かを塗りつけると、父はお坊さんの指示に従って花嫁の右腕を一周するように中指についたものをぐるりと塗りつけた。それがすむとお坊さんは花嫁の右手をココナツから離し、花嫁の父の手に何かをのせ、それを目の前のお皿にのった葉っぱに降りかけるよう指示した。
そういった一連の動作がすむと、お坊さんが花嫁の父に何かで包んだ植物を手渡し、それを花嫁の額にくっつけるように指示した。それがすむと、お坊さんは再び金色の壺のうえにココナツのような木の実をのせて、その上に花嫁の右手をのせ、父の右手中指に何か黄色いものを塗りつけると、それを花嫁の右腕に塗るようにうながした。
儀式
それがすむとお坊さんは、草などの入った金色のスプーンを花嫁の父の左手にのせ、さらに右手で蓋をするように指示した。お坊さんはひとしきりいろんな動作をすると、父にスプーンの中身を空けさせてから両手に花びらをのせ、祈り、降りかけるようにうながした。
儀式

幼い子供(チャンドゥさんのお兄さんの子供?)が可愛らしい声で何かを叫んだときによっちゃんがそちらを向いて少し笑顔を見せただけで、儀式の最中、花嫁とその父の神妙な表情は最後までゆるむことがなかった。なにしろ初めてヒンドゥー教の儀式を体験するのだから、それもいたしかたのない事である。二人はお坊さんの指示通りに儀式をちゃんとやり遂げようと一所懸命だったに違いない。
花嫁とその父による儀式が終わると、父はその場に残り、花嫁はいったん控え室へと戻っていった。