以前の「スピリチュアルなセックス講座」の記事を削除して、改訂版を新しくアップロードしていきます。
■イントロダクション■
「一度もしていないですって? 」
その言葉を聞いて私たちは耳を疑いました。
結婚して三年、浮気する夫に裏切られ続けてきたこの女性はすでに関係を修復する気力を失っていました。
夫婦セミナーのセッションの合間を縫って彼女がカウンセリングを申し込んだのも夫との関係を修復するためというよりは夫の非道を訴えて離婚に賛成してほしかったからなのでしょう。
話を聞いたところ彼女に落ち度はないように見えました。悪いのは夫であり、耐えに耐えてきたこの女性に多くの人は同情することでしょう。
そう、たった一つの点以外には彼女に落ち度はないようでした。
「どうして、ご主人が求めていたにもかかわらず新婚当初から一度もセックスをしなかったのですか。」
「う~ん よく覚えていませんが・・・あるときは私が疲れていたり ・・・その気になれなかったり。
それに・・・私は・・・・そういうことにはあまり興味がないのです。」
そう語る彼女の表情に一つの変化が現れました。
何かにはっと気が付いたような様子を見ると、どうやら自分の落ち度に気がついたようです。
ついさっきのセミナーのセッションで私たちが語った「セックスを拒むことは夫がポルノや浮気に走ることを励ますようなものです。」と語った言葉を思い出したのでしょう。
この気づきが彼女にとって大きな転機となりました。
彼女は自分にも大きな落ち度があった事を知り、もう一度、これまでの出来事をかえりみる必要に迫られました。
一方的に夫を責めていたこと、自分だけを正しいとして周りの人をコントロールしていたこと、そしてなすべき役割をはたしていなかったこと、その他いくつもの自分の過ちに気が付いたのです。
そして、へりくだった態度で最後の望みをかけて夫に歩み寄りました。
その結果、それまで絶対修復が不可能のように見えていた離婚寸前の夫婦の関係が回復し始めたのです。
夫が浮気をする事に比べたら妻がセックスを拒むことは小さな事に思えたことでしょう。
それにもかかわらず彼女は自分にも落ち度がある事を認め、また解決の鍵は自分が持っていることを理解し、それを実践したのです。
「相手さえ変わればうまくいくのに」と多くの人が考える中で「自分がまず変わらねば」と考え、行動に移したことによってこの夫婦は危機から救われたのです。
この世にはセックスレスの夫婦がたくさんいます。
それにいたる過程には様々な理由があります。
ですからセックスを拒むことが一方的に悪いとはいいません。
セックスを拒んで当然といえるほどしいたげられている方もいます。
セックスの有無は結果的な問題なので、それそのものについてだけではなく、むしろ、その妨げとなっている原因に目を留めなければならないと考えています。
ただ、たとえそうであっても、セックスの重要性について知ることが問題解決の大きな鍵となるケースも決して少なくはありません。
セックスは性欲を感じる人には必要だけど、そうでなければどちらでもよいというような問題ではありません。
夫婦関係においてセックスが欠けているということは、精神的にもスピリチュアルな意味においても大きな欠乏があることを意味します。
私たちは夫婦に対してカウンセリングやコーチングをする時に多くの場合セックスについても取り扱います。
それが全ての問題解決の鍵であるとは言いませんが、これまで正面からあまり取り扱われてこなかった事柄なので、それを取り扱うときに驚くほど素早い問題解決がもたらされることも少なくないのです。
本書では、この世界を創造し、人を創造した神が人に与えた「人の取扱い説明書」と言える聖書からひも解いて夫婦について、そしてセックスについて、そしてさらにそのスピリチュアルな意味について解説したいと思います。
■用語について
本書では聖書にしたがって人間は霊、魂、体の三つで構成されていることを前提としています。ただ一般的な用語として魂は霊が混同される場合が多いので本書では多くの場合、魂を心と表現しております。
(2)「聖書とセックス」に続く