- サロメ (岩波文庫)/ワイルド
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来週10/19(水)、R.シュトラウスのオペラ「サロメ」を観に、新国立劇場に伺うことにしたので、
予習もかねて、戯曲版のこちらを読んでみることに。
岩波版しか見つからなかったのですが、
岩波版にはビアズリーの挿絵も入っていて、ちょっと得した気分。
この冒頭にある挿絵「おまえの口に口づけしたよ」…大好きなもので…!!!!
一時、ウィーンの世紀末美術にすごくはまってしまっていたんですよね。
クリムトとか、ミュシャとか・・・ね。
(エゴン・シーレはちょっと苦手・・・生々しすぎて;;;)
マーラー好きから派生したものだったんですが・・・。
短いお話なんだけれども、
激しいし、儚い・・・
届かない想いを、究極の形で永遠のものにしてしまうサロメ。
許されないことではあるのだけれども、
そうするしか、ヨカナーンを自分のものにすることはできなかったから。
◆
月にまつわる描写が多くて、
その部分がすごく好きです。
個人的にも、月は大好きで・・・
自分のアドレスにも必ず月に関する単語を入れているくらいだし・・・笑
そして、福田さんの訳がほんとうに美しい・・・。
月を見るのはすてき!
小さな銀貨そつくり。
どう見ても、小さな銀の花。
冷たくて純潔なのだね、月は、さうだよ、月は生娘なのだよ。
生娘の美しさが匂つてゐるもの・・・
さうとも、月は生娘なのだよ。
一度もけがされたことがない。
男に身を任せたことがないのだよ、ほかの女神たちみたいに。
ヨカナーンに対する激しい気持ちもあるけれど、
実は裏腹に、義父とは違う清らかさ、ストイックさを男性に求めているようでもあり・・・
ヨカナーンはそういう男性なんですよね。
このあたりに、私はサロメの二面性を感じてみました。
性的なものと、清らかなもの・・・
そして、サロメがヨカナーンを形容していう言葉・・・
何て痩せているのだらう!
ほっそりとした象牙の人形みたい。
まるで銀の像のやう。
きつと純潔なのだよ、月のやうに。
その銀の光さながら。
あの男の肉は、きつと冷たひにちがいない、
象牙のやうに・・・あたしはあの男をもつと近くで見たい。
一瞬にして恋に落ちる・・・
身も心も美しいヨカナーンに。
この描写を想像すると・・・読んでいる私まで、鳥肌立つような、
冷たい、ストイックな美しさを持つヨカナーンに恋をしてしまうような気がします。
きれいな文章です。ほんとに。
俗っぽい話ですが、
オスカー・ワイルドって男色の気もあるようなので、
男性を美しく描くことができるのかなって、思ってみたりしました(笑)。
◆
銀のお盆の上のヨカナーンの首を前に、
続くサロメの独白・・・
(オペラでも、ここは楽しみです・・・はい。)
死によって永遠に自分のものとなったヨカナーン・・・
異常なシチュエーションではあるのだけれども、
ただただ、自分の恋愛に純粋であるんですよ・・・サロメは。たぶん。
まだ若い分、かなりストレートな欲望であり、思いのたけであり、
偽ることを知らず、まったく何物にも包まず、むき出しのままの、生な感情なんですよね。
ここの独白の表現の美しさ、切なさ、激しさ・・・ほんとうに何度も読んでしまいます。
永遠に自分だけのものとなったヨカナーンなんだけれども、
でも、もう彼は動かないし、しゃべらない。
結局、自分の方を見てはくれなかった・・・
彼の唇が愛を語ることはなかった・・・
でも・・・
ここに・・・
いる・・・
最後のト書き
~一条の月の光がサロメを照らし出す~
このあとに、サロメは義父の命で兵士に殺されてしまうんですよね。
やっぱり月の光なんだ・・・
「月」は狂っているものの象徴でもあるんでしたよね。
短い中にも想いが凝縮されたおはなし。
◆
オペラ版はまた感じが違うんだと思うけれども、
とっても楽しみです。
オペラ見るの、何年ぶりかな~~(^_^;)。