母の思い出
母は強い人ではなかったかもしれない。
思い出すのは泣き顔だけ。
母の顔をうっすらとしか覚えていない。
母の写真を見るといつも奇妙な違和感を感じる。
…こんな顔をしてたっけ?
思い出の中の母はいつも泣き顔だった。
写真に写る母はどれも笑顔だ。
この違和感はそれのせいなのかな。
大好きな母だった。
いつも朗らかだった。怒鳴られた記憶もない。
典型的なA型でいつも部屋はモデルルームのように綺麗だった。
しかし、強い人ではなかった。
今にして思えば母には耐えられないことが多すぎたんだろう。
死ぬ前の母は子供の私の前でもよく泣いていた。
ごめんと言っては泣いていた。
でも、幼心に母が謝る理由がないことは知っていた。
謝るべきなのは大好きな父のはずだ、と。
私は大好きだった父を一生許さない。
14年経った今でも許せない。許せるはずがない。
自分の肉親を本気で憎んでいる私には親になる資格なんてないだろう。
そう思うと今の彼にとても悪い事をしていると実感する。
結婚願望もない。
ましてや家庭も欲しくはない。
私の生い立ちを知っている彼だからこそ無理はきっと言わない。
だからこそ申し訳なくて、たまらなくなる。
早く父とあの女とあの子供達が死んでしまえばいいと
今でも強く願い続けている私は人に愛される資格もないのかもしれない。
