「捜すたって、当てとかあるわけ?」

「ないよ。だから、ともちんのそれが必要なんじゃん」

なるべく視界の狭い道を選んで森を進んだ。それには一応理由があり、向こうからこちらが見えないようにと考えた結果だった。

探知機の画面には真ん中に二つの点が並んでるだけで、今のところ何も映っていない。

時々それをチェックしながら、友美は敦子の前を歩いた。

「それにしても」疲れているはずの敦子が饒舌に喋る。「麻里子が死んだだなんて驚きだよね?」

よほど一人が寂しかったのだろ。友美が適当に返事をしても、敦子はずっと喋り続けていた。

その敦子の手にはグロック17Lが握られている。それを改めて見たとき、友美は不安で苦笑いが零れた。

果たして敦子は、自分達がピンチに陥ったときに、その拳銃の引き金を引いてくれるのだろうかと。

「ねえ、聞いてる?」

「聞いてるよ」

一度敦子に向かって振り返ると、苦笑いのまま溜息を落とした。

本当に敦子の言うとおり、優子は信用できるのだろうか。








辺りが薄暗く闇に閉ざされたとき、大島麻衣は自身の持ち物の手鏡をポケットに閉まった。

れいなから奪ったコルトガバンメントM1911は、近くの岩の上にバッグとともに無造作に置いていた。

もし、ここで美香に見つかっていたら簡単に殺されていたかもしれない。

それほど、麻衣は無警戒で、隙だらけであった。

しかし、その無防備な麻衣に、少しでも心を許そうものなら、それはたちまち女郎蜘蛛の殺されてしまう。

そんな獲物を受け入れるかのように無防備な姿を見せている麻衣にも、恐れる存在が一人だけ居た。

その存在を見つけたときは迷わずに殺さなければ。それだけは常に頭の隅に残しておいた。

だが、それは一度逃がしてしまった。麻衣にとっての唯一の悔いかもしれない。

そんな麻衣にとって、もう一つの邪魔者の麻里子が死んだのは予想外だった。

予想外だったが、それはそれで警戒する者が減って、ありがたかった。

拳銃を拾い上げてズボンのベルトに差し込む。バッグのベルトを左肩に掛けた。

そんな麻衣の目の前に、再び獲物が飛び込んできた。

一度逃がしてしまった獲物は、案外近くをうろついていたようだ。

含み笑いを押し殺しながら、ゆっくりとコルトガバメントの引き金を引いた。