「そこまでだよ」


敦子が玲菜に近づこうとした瞬間、誰かに喋りかけられて振り向いた。時間の止まった空間で、喋りかけられたのは、初めてのことで、敦子はおどろいた顔をした。


「あなた……まさか、同じ超能力者!?」

「ううん、違うよ。わたしは未来人だよ」


生来が動かないで、と言うように手のひらを向けて敦子を制止させた。敦子は未だに驚きを隠しきれないようで、目が泳いでいる。よく見ると、そこには動きの止まった生来と、動いてる生来の姿があった。


「未来には、時間を止める道具でもあるの?」

「まさか、そんなのないよ」呆れたように口元だけで笑む。「……この後、私以外のみんなは殺されるんだ……でも、失敗だったね?」


生来が敦子に笑いかける。敦子には意味が判らないようで、ナイフを持った手がカタカタと震えていた。


「私は致命傷を与えられなかったみたいで、なんとか助かるんだ。目を覚ましたとき、ぐっさんを含め、みんな死んじゃってる。何が起きたのか判らないまま、生徒会のみんなが犯人扱いされちゃうんだ。でもね、私を殺し損ねたのは失敗だったよ。

傷が治った私は、この瞬間に飛ぶまで、何度も過去と未来を行ったり来たり繰り返すんだよ。 まさか本当に時間が止められるなんて思わなかったから、この瞬間までコンマ1秒のスレもなく飛ぶのは苦労したよ」


一度言葉を切ると、生来はポケットから何やら道具を出して見せた。そしてもう一人の自分自身を見ながら続けた。


「でもね、もうここまで。私はぐっさんを助けるために未来からやってきたの。あなたのやったことは許されることじゃない。あ、動かないでね、動いたらこの未来の道具があなたを攻撃しちゃうよ。そういう風に情報伝達してるから」


震えている敦子の額には、冷や汗が浮かんでいた。ナイフは相変わらず小刻みに振動している。


「いち、一度、時間を、動かして……」

「それやっちゃうと、そのはるごんって子に乗り移られちゃうんでしょ? だからって、ここから動けばこの道具があなたを攻撃する。さあ、どうする?」


終始笑顔の生来だったが、語調はとても強く、怒りに震えていた。敦子はどうしていいのか判らなくなり、泣きそうな顔のまま膝を着いた。


「あなたの正義は間違っちゃいない。特別な力があるなら、それを有効に活用してもいいじゃん。何をそんなに悩む必要があるの? 死んだ子供は、それが寿命だったかもしれないし、捕まった犯人だって、そこで捕まらなくても、いつか耐えれなくなって自首したかもしれない」

「…………」


「時間、戻してくれる?」最後に生来がそう言うと、敦子は目を伏せて頷いた。

二人が部室を出ると、再び時間が動き出した。

 

「間に合えーっ!!って、あれ?」

「あっちゃんは?」


全員がキョロキョロと辺りを見回した。敦子の姿はどこにも見当たらない。地面に転がったナイフが、そこに敦子が居たことを知らせているように見えた。


「はるごん、ちょっと学校の中見回ってきてよ。あと、幽霊とか居たら、教えて」

「いや、その子が既に……ってなんでもない」


夏海が理不尽な麻衣の言葉にツッコミを入れようとしたが、それを途中で辞めて自由にさせた。


「ヒーロー部って幽霊飼ってんだね」

「何でもアリだね……」


生来が嬉しそうに遥香の後を追いかけると、玲菜が呆れて溜息をついてみせた。

夏海の手から携帯を取り返した晴香が、シャッター音を響かせる。

麻友が顎に指を当てて、小首を傾げながら、「一瞬、時間が止まったような……」と呟いた。


「まさかね」

「どうしたのまゆゆ? お菓子なら、ボクにも頂戴」


麻友の首に纏わりつく友美にの頭に振り下ろされたハリセンの音とシャッター音が見事に重なる。


こうして、ヒーロー部は未来から来た田名部生来によって、一命を取り留めることが出来た。


今日もヒーロー部は平和です。










おわり








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由紀 「勝手に終わらせないでよっ! わたしたちの活躍がまだ残ってるでしょ!」


薫 「と、いうわけで最終回はまだまだ先です」


真奈美 「ゆきりーん、コンビニ行っていい?」







つづく






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幽霊騒動にゆきりん失神?


はるごんは幽霊じゃなくて、まいのペットだもん!


次回

「七不思議の一つ。はるごん幽霊にご注意?」


お楽しみに