「ベルトは私のでしょう!?」


いつの間に装着したのか、佐江が嬉しそうにポーズを取っている。

峯岸が、拳を開いて指輪を見た後、理沙に差し出した。


「残るはなるるだけだね。わたしたち、もう戦えそうにないから」


頷くと、理沙は右手の中指に指輪を嵌めた。そのまま右手を空に突き上げる。


「変身っ!」


佐江のベルトから、淡い緑色の光が放たれる。理沙の指輪からも黄色の光が放たれた。それは二人の体を包み込むと、やはり、ほかの3人と同じような姿をしたものに変身した。


「よっしゃよっしゃー! 変身しちゃえばこっちのもんだよ。ちょちょいのちょいと倒してくるからみんな見てて」


調子に乗った佐江が、右拳を左手のひらに打ち鳴らし、腰にある銀色の棒を掴み取った。

それを両手で真っ直ぐ持つと振り回した。棒の先から緑色の光が現れる。


「は、ハンマー?」

「ううん、モーニングスター。またの名をフレイル」


ブイ。峯岸にピースサインをすると、それをブンブンと振り回す。数体のドールに星型の鉄槌が当たり、吹き飛ばした。


「これ最高!重さがあんま感じないし、威力もすげーよ」

「ほら、調子に乗ってると殺されちゃうよ」


パシュッ。佐江を襲おうとしていたドールに、黄色の矢が刺さった。少し離れた場所で理沙が首を傾げて、自身で出した弓を見つめている。


「そんな古典的な武器なんかより、銃のほうが絶対いいのに」

「いや、違うんです……。別のものイメージしたんですけど……」

「いいから、ちゃっちゃと倒そうぜ」


佐江がモーニングスターを振り回す。理沙の表情は、どうも納得行かないと言った顔をしていて、峯岸は口をひんまげて見ていた。


「5つとも盗られたか……まあいいわ、それはあなた達に貸してあげる。でも覚えておきなさい、それは私たちが造ったモノ。私達が使うからこそそれは真の力が目覚めると言う事を」


怪しげに笑ったリナティンが、漆黒の翼を羽ばたかせると音も無く消えてしまった。


同時にドールの姿も消える。佐江の振り回していたモーニングスターが空を切って屋上の扉を壊した。


「……羽?」


峯岸の頭の上に振ってきた一枚の黒い羽。それは先ほどのリナティンが落としたものだった。


変身が解けたのは、30分後のことだった。





――――――――――――――――






くっくっくっく……


リナティンの背後に不敵な笑みを浮かべる女が一人。それもまた黒い翼を持つ者だった。


「リナティン、アレを奪われちゃあなたの評価も下がるね」

「フロールいつの間に?」

「人間界では花という名前があるの。気をつけなさい」


リナティンとは違い、翼を背中に閉まった花がヒールの高い靴を音を鳴らして階段まで歩いた。


「これからは私が指揮を執ることになったから。これは上からの命令。リナティン、あなたはしばらく動かないこと。ですって」


くっくっくっくっ……


耳につくその笑い方に、リナティンが目を細めて花の背中をにらみ付けていた。


その花もまた、背中を向けたまま目を細めていた。





つづく