「じゃあ、他のチーム探しましょうよ」

美穂がごく当たり前のことのようにそう告げると、麻衣が怪訝そうな表情で口を開いた。

「なんで? そんなの危険じゃん」

「危険・・・ですか?」美穂の口がへの字の下がる。椅子から立ち上がった麻衣が続けて言った。

「当たり前でしょ? 殺されるかもしれないんだよ? そんな危険冒してまで他のチームに会いに行くってわけ?」

テーブルにドンッと両手を着くと、その振動で銃が跳ね上がった。こぼれた弾がコロコロと転がりテーブルから1つだけ落ちた。

それを視線で追いながら麻衣が小さくため息を付いて、再び椅子に座った。

「でも、私達って殺し合いに賛成してますか?」

足元に転がってきた弾を拾い上げながら美穂が上目遣いで麻衣を見つめる。

「そ、それは・・・」確かにそうかもしれない。けど、殺される可能性だってなくはないんだ。

美穂がニッと笑みを作り、口を開こうとしたとき、テントの柱に凭れかかり腕組をしている麻里子が先に口を開いた。

「みゃおの言ってる事もまいまいが言ってることも正しいと思うよ」

全員が麻里子に注目する。それをチラッと見回したあと、続けて言った。

「でもさ、他のチームが殺し合いに反対してると仮定したとして、それでも、殺される可能性はあると思う。だって、今は殺し合いをして生き延びることが目的なんだよ。

もし他のチームと出くわしたらどうする? びっくりだよね? もしかしたら殺されるんじゃないかって思うよね? それで護身用として持ってただけの武器を見られて、ますます相手を勘違いさせちゃうかもしれない。

殺されちゃうって、殺されるくらいなら殺しちゃえって思うかもしれない。そしたら反対派の人だって殺しちゃうかもよ」

そこまで言い終わると、麻里子はテーブルに近づき先ほど敦子が取り出した銃を手に取って、見つめた。

麻衣と美穂は互いに顔を見合わせると、そのまま視線を下げ俯いてしまった。


「あの・・・」

恐る恐る手を挙げた亜樹が、麻里子に向かって「いいですか?」と言った。目線だけで「なに?」と麻里子が伝えると、亜樹が少しの間を開けて息を大きく吸った。

「私、交渉してきます。他の1チームにでも会えれば心強いですよね?」

「あんた今の話聞いてた?」麻里子が呆れてため息をつく。

「聞いてました。だから、武器は持って行きません。それでいいですよね?」

麻里子を見つめる亜樹の目はとても力強かった。根負けした麻里子が両手を挙げて「わかった」と呟いた。

「ただし、条件がある」

銃をくるっと回してから亜樹に差し出した。

「武器は持っていこう」

「え?」

目の前に差し出された武器と麻里子の顔を交互に何度も見る亜樹の顔は、飴玉だと思って食べたらビー玉だったときのような拍子抜けた顔をしていた。

「そして、私も一緒に行くから。それでいい?」

亜樹の驚いた顔を見て、麻里子は嬉しそうに笑みを浮かべた。

「え、あ、はい。・・・でも武器は・・・」

「武器は護身用だよ」

荷物の山からもう一つの武器を選び取り出すと、それを掲げて亜樹に見せた。亜樹は「はあ・・・」とため息にも似た返事をしてから、自身の手の中の銃に視線を落とした。

麻里子はというと鼻歌を歌いながら出かける準備を続けている。

「ねえ、なんかおかしくない?」

亜樹の袖をくいくいと引っ張って言ったのは、美穂だ。麻里子が先ほど言ったことと、今行おうとしてることの違いに疑問を感じたのだろう。それは亜樹も一緒だった。

「・・・うん」

それだけ呟くと亜樹は麻里子の動向だけを見つめていた。