「ねえねえ、他のチームはどこにいるんだろうね?」

優子が地図を広げて「K」と書かれた文字の上を指先でなぞった。

「適当にウロついてれば見つかるんじゃない?」よほど気に入ったのか、佐江がマシンガンを抱えて眺めながら言った。

「とりあえず、この宝っての探さない?」

「宝探し? いいね」

才加が宝のある場所を指し示すと、優子が嬉しそうに同意した。

「私は残るわよ。行くならあなたたちだけで行ってよね」

恵が椅子に座ったまま、銃(H&KUSP)に弾を込め、素知らぬ顔でそう言うと、才加にそれを突きつけて「バンッ」と撃つ振りをした。

「じゃあ・・・薫」才加に呼ばれて驚いたのか、薫が肩をビクッと上げた。才加はそれを知らん顔で一瞥したあと、地図の「K」の文字の右方向にある印を指差してから続けた。

「ここの宝取ってきてよ」

「えっ、私?」

言われて薫は目を泳がせ首だけを動かし、全員の顔を見回した。そして、「無理だよ・・・」とだけ言った。

「私らこっちの取ってくるからさ」先ほど指差したとこからさらに下側にある印を指差して才加は笑った。

佐江が武器を一つだけ薫に放り投げると、「がんばってね」と微笑んだ。

「じゃあ、いこっか」優子が立ち上がると、才加は頷いてマシンガンを肩に掛けて持ち上げた。

2人が外に出るのを見送ったあと、薫は受け取った銃を手の平の上に乗せたまま、立ち尽くしていた。

「かおりん、なにやってんの?」

佐江が不思議そうにそう言うと、「あ」と口を大きく開け、「ごめんごめん」と続けて言った。

「1人じゃ怖いよね? 誰か一緒に行ってあげて」

佐江の呼びかけも虚しく、誰も返事をしなかった。

「みんな冷たいな。仕方ない、かおりん頑張って」手の平に乗せてた銃を、佐江が包み込むように握らせ、薫の背中をテントの外へと押した。

「待って」

テントの中から発せられた声に佐江が振り向いた。動きを止めた恵が眉を持ち上げる。

「私も行く」野呂佳代だった。今まで一言も言葉を発しなかった佳代が、手を挙げて前へ出てくる。

テーブルに置いてある武器を一つ取ると、佐江の体を突き飛ばすように押しのけて、薫の手を取った。佳代に引っ張られた薫が後ろを振り返ると、面白くなさそうな顔をしている佐江がこちらを睨み付けていた。


「佳代ちゃん、痛い・・・」

テントが見えなくなった辺りで、薫が眉をへの字に下げて呟く。

「あ、ごめん」

手を離した佳代が、申し訳なさそうにそう言うと、今は見えなくなったテントのある方向に視線を向けた。

「どうしたの?」薫が佳代の視線を辿ってから首を傾げると、佳代が唇の片端を持ち上げて口を開いた。

「・・・あの子らの勝手にはせない」

それは、佐江たちのことだろうと薫は思った。佳代の言葉に何も返さず黙っていると、佳代がふうっとため息にも似た呼吸をした。

「かおりん、勇気あるね」

軽く笑んでから歩き始めた。何のことなのか判らず後を追いながら「え?」とだけ言った。

1人で外に出ようとしたことを言ってるのか、それは薫の意思ではないことくらい佳代は判ってるはずだが。薫が首を傾げていると、佳代が嬉しそうに笑ってから言った。

「手榴弾、盗んだよね?」

「・・・あ」バレてた。何か気恥ずかしくなり誤魔化すように顔を俯かせる。

佳代はそれ以上問い詰めなかった。代わりに、えっほ、えっほ、と声を発しながら歩き続けた。

ポケットの中の手榴弾を確かめるように握り締める。そして、少し離れた佳代の背中を再び追いかけた。