胸に弾丸を撃ち込まれ、大量の出血していたにもかかわらず、峯岸みなみはまだ生きていた。
佐江が優子を追ったおかげで、とどめを刺されなかったのが幸いした。
ただ、意識が朦朧としていて、目が霞んできていた。そんな中、峯岸の目の前に友美の顔がぼんやりと映った。
「みぃちゃん、なにやってんの? そんなとこで寝てないで、こっちおいでよ」友美がいつものように鼻にシワを寄せて笑う。
あぁ・・・そうだ、この友美はAKBに加入した頃の友美だ。峯岸は口の端をゆっくり持ち上げて笑い返した。
ねえ、ともちん。私死ぬんだね・・・。そしたら、そっちの世界でまた、AKBできるかなぁ?そしたら、一緒にユニット組もうね。
「とも、無理言っちゃダメだよ。みぃちゃん、私達先に向こうで待ってるからね」今度は高橋の顔が友美の横から現れた。
相変わらずたかみなはちっちゃいなぁ・・・。あのね。私、たかみなのこと、本当は尊敬してたんだよ。はは・・・なんか照れるね、こういうの。
「こら、もう二人とも、あんまり急かすようなこと言わないの。みぃ、慌ててこっちに来なくていいんだからね。来たくなったら、おいで」高橋と友美に怒った顔を見せた後、今度は峯岸に優しく微笑んで見せた。
まいまい、ありがと。でも、私、もう無理みたい。すぐにそっちに行っちゃうかも・・・。
「ねえ、みぃちゃん、今の気持ちはどうですか?」突然、由加理が右手をマイクに見立て、峯岸の口元に持ってきた。
気持ち・・・? なんだろ? ムカつく・・・かな? だって、こんなゲームのせいで、みんな・・・死んでいくんだもん。
「じゃあ、15年間は短かったですか? それとも長かったですか?」今度は希が右手を向けていた。
そんなの、これからの人生過ごしてみないと判んないよ。
「死ぬのは怖いですか?」仁美と梨紗、そして朝美が峯岸の顔を覗きこんだ。
怖い・・・かな? でも、みんなと一緒なら、怖くないかも。
「じゃあ、最後の質問」里菜が真剣な眼差しで、峯岸を見ていた。

「AKB48に入れて、良かったですか?」



――――――はい。




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「みぃちゃん。死なないで」
恵令奈の顔が浮かんだ。その顔は泣いていた。
遠のいていく意識を、最後の力を振り絞り引き戻し、ぼんやりと目を開けた。
東の空がうっすらと紫色に染まり、その微かな光の中に、小野恵令奈と秋元才加が峯岸を見下ろしていた。