48人揃ってのPV撮影。
この日は朝から、皆テンションが高かった。
AKB48と名乗ってはいるが、全員が揃うことなどごく稀なことだし、そのせいもあるのだろうが。
バスに揺られながら雑談を交わすメンバーや、トランプやウノを持ち込んで楽しむメンバー、中には、丸めた雑誌をマイク代わりにアカペラで歌を唄うメンバーもいた。

かれこれ二時間近く経つ。
目的地は知らされていなかったが、今度の新曲の曲調と歌詞を見るからに、恐らく海のある場所だろう。
才加は相変わらず意識を窓の外へと向けていた。欠伸を噛み殺す。
言い訳のつもりで言った佐江への言葉が本当になってきた。
意識が朦朧としてきた。
太陽の熱で滲んだ額の汗が、ツーっとこめかみを伝った。
少しだけ眠ろう。
目的地へ着けば、誰かが起こしてくれるはずだ。
遠のいていく意識の中で、隣りの佐江の笑い声が耳に響いた。