12月5日、「デキる大人の話し方」が発売された。その一週間前に、セブンイレブンのセブン書店で先行発売された。雑誌の記事は、記者の時代も含めるとほんとにたくさんの記事を書いてきたし、人の本は仕事としてあまた作ってきたが、実は、自分の本を出すのはこれが初めてである。
事情のわからない人は、わが社で出したものと天から思っているが、実際問題、出版社の代表が自分の会社で本を出すことはあまりない。この本は、「エイ出版社」という、いまの出版界ではよく知られた勢いのある中堅出版社から出された。「エイ」という字は木へんに世の中の世と書く難しい漢字で、最近ではカタカナで通用している。
日本話し方センターで文章の書き方を教えて2年以上になる。今年の1月からは学院長も引きうけているが、今回は、その学院長として書いて欲しいという依頼だった。私と話し方センターとのご縁はかなり古い。創業者で話し方教育のパイオニア、江川ひろし先生と出会い、先生の理論と技術を映像にして2度、私の会社で出版した。20年ほど前のことである。その時以来、コミュニケーションの問題は、私のテーマでもあった。その昔、河合隼雄先生ともお付き合いし、先生のユング心理学の講座を何年か前にCD集にしてわが社から出したりしたこともあって、いまの時代のコミュニケーションのあり方をいつか自分でまとめておきたいと思っていた。
改めて、いま流布しているコミュニケーションのスキルを整理し、感じたことは、人によっては実践に必ずしもそぐわないものもあるなあ、ということだった。そのスキルの多くはアメリカで生まれたものであるからそう感じるのかもしれない。
江川先生の場合は、外国に学んで作ったスキルではなく、徹底して自ら作り上げたコミュニケーションスキルだから、きわめて実践的で、実際に使えるものばかりである。だからこの本を書くにあたって念頭に置いたのは、コミュニケーション能力に問題が起きている若い人を対象にしたいということと、可能な限り「こなれていて使えるもの」に絞りたいという2点だった。
それにしても今回、他の出版社の本作り、販売の方法について学ぶことが多かった。エイ出版社は、本作りのスピード感も、若い読者に対するマーケッティング力にしても、他社にぬきんでている。出版の現場はどんどん変貌していると実感させられた次第だ。