登場したアカデミー賞「ザ・コーヴ」への反証 | 編集長ブログ

編集長ブログ

ブログの説明を入力します。

 八木景子監督

  先日、下高井戸の小さな映画館で上映された「ビハインド・ザ・コーヴ」(写真)を観た。5年前にアカデミー賞をとり、日本人がイルカを食べる野蛮で未開な人々だと世界に喧伝した「ザ・コーヴ」への反論映画だ。副題は「捕鯨問題のなぞに迫る」
 「ザ・コーヴ」のアカデミー賞受賞後、もやもやとしてやりきれない気持ちでいたのが、すこし晴れ、同時に、一人でこの映画を作った八木景子さんの勇気と根性に敬服した。今、テレビや映像の世界で後退しているジャーナリズムのまっとうな姿を見る思いがした。
 もともと「ザ・コーヴ」には公開当時から、一部批判はあった。それでも、ドキュメンタリー映画にドキュメンタリー映画で反論したことの意味が大きい。アカデミー賞映画の中で、伏魔殿のように扱われた鯨の町・和歌山県大地町の人たちも、少し救われた思いでいるかもしれない。
 
 今回の「ビハインド・ザ・コーヴ」で、アカデミー賞映画が悪意ある誤解に満ちていたことがはっきりした。いまでもカメラで大地町の人々を追い回している反捕鯨団体や環境保護団体のメンバーたちに、反対に八木さんのカメラとマイクが向けられ、彼らの正体も次第に明らかになってゆく。鯨やイルカの問題を扱うと「金になる」という本音も聞き出していたのには驚いた。八木さんは、カメラを持つのも初めてだし、取材の経験もない。感心してしまう。彼女は、外国の映画会社に勤めていた人だが、映画の制作現場の経験はないという。
 
 私が著作権代理人をしているC・Wニコルの世界的ベストセラー小説「勇魚」の舞台が、ほかでもない、この和歌山の大地町である。作家ニコルの原点といえる土地だ。ニコルが、わが社から出している「鯨捕りよ語れ!」も、日本の現代の鯨捕りへの賛歌である。彼は、世界で劣勢に立たされている日本の捕鯨の応援団長を自認していて、反捕鯨団体シー・シェパードの頭目、ポール・ワトソンには批判的だ。そのニコルも、大地町の一部の人たちがやっているイルカの追い込み漁は、「やめたほうがいい」といっている。私も、イルカの追い込み漁で生け捕りされた一部のイルカが世界の水族館やテーマパークに高額で売られているのは知らなかった。まあ、そこまではよしとしても、残ったイルカを殺しているのはどうかと思う。
 八木さんは、それぞれの民族が伝統にしてきた食文化と宗教はお互いに認めあうべきだというのが持論だ。まったく同感である。鯨を食べるのは日本固有の食文化だ。縄文人たちが既に食べていたという説もある。
 日本人は何事によらず反論が下手で、外国から誤解を受けると、誤解をうけたままということが多い。しかし、「ビハインド・ザ・コーヴ」は、日本人への誤解が解かれるきっかけをつくってくれたし、これから議論すべきことが整理されたという感じがする。すでにモントリオール映画祭に出品されたが、日本での上映予定がまだまだ少ないので、何とか上映してくれる映画館やホール上映をしてくれる学校、団体が名乗りを上げてくれることを祈っている。