この景色どこかに見覚えがある、 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

 

 

この景色 どこかに見覚えがある。

 

ふと夢に出てきたこの景色 どこかに見覚えがある

いつだったろう 何処だったろう 

蝉もトンボも飛んでいた 夕暮れまで遊んでいた子供の頃

過ぎ去った遠い日のかずかず

 

八幡神社の祭りの日 水を被って

ワッショイ、ワッショイ担いだ神輿

口いっぱいに頬張った西瓜 宵宮の灯り

 

一瞬、この空が真っ赤に変わった 荒れ狂う炎の町に

炎に呑み込まれていく人間 火踊りする人間を見た

炎の地獄の夜が明けた 死臭は身体に染みついた

東京大空襲に生き残った日の朝だった

 

2022年7月15日,金