ちいさな展覧会
知らない町で出会った小さなギャラリー。初めて入ったのは一年前、日本画と造形の二人展だった。日本画は視覚的な形を崩して紋様化し、その中に具象で小さく点描を入てある。造形は形に光を当て、壁に映る影と併せた作品であった。上野美術館で審査をしているときに、同じ造形を何点か見たが、これには大きさと広さがいる。
後日このギャラリーで別の日本画Mを見た。オーソドックスな技法で忠実に描きつづける絵である。作品技法が氾濫する現代では貴重な存在である。
彼女たち三人の作品は立派であるが、もう出来上がってテルミナにある。このままで満足するのであればそれもよし。ではなく創作者として新たな次元を求めるのなら、「離格の美」に至る確かな背景を意識することである。
それとは別に、人間的な温もりがなくなった今の世の中、ギャラリーのある町って素晴らしい。賑やかなお祭りの案内状が届いた。