人生は旅漂
聖ソフィア寺院の母子、
キエフはキリスト教の歴史でも大きな歴史を持つ都市である。いまから約千百年前、
ウラジーミル大公は、土着信仰からギリシャ正教に改宗した。改宗を機に新しい教会や寺院が幾つも建てられた。その一つに黄金に輝く鐘楼を持つ聖ソフィアイ寺院がある。キエフの寺院には時代ごとの多くのイコンがあり、私は度々通っていた。聖ソフィア寺院前の広場に行くと母親が子供を連れてきて遊ばせている。聖ソフィアイ寺院に行くと、いつも広場に行って子供たちを見ていた。
アメリカの東京大空襲で母親と子供たちが焼き殺された姿を知る私は、何処に行っても幼い子供がいると近寄っていく。なぜそれほど子供に魅かれるのか? 心の深層には戦争で奪われた子供時代の悔しさである。