生きていた 小さな命、 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

東京大襲 3

生きていた小さな命、

いまの日本人のほとんどは戦争を知らない。平和が空気と同じように当たり前と思っている。75年前の今夜からアメリカ軍による東京大空襲が始まり、

東京は炎の地獄に変わった。炎のなかを生き抜いた母と子。その姿を描いた。

 

前から炎が、後ろから炎が、

横から炎が、上から炎が迫ってきた。

地獄の祭壇のように、炎の壁が人間を包み込んでいった。

炎のなかを必死で逃げまわった朝、わが児を抱きしめる母親。

煙で汚れた顔に開いた眼、おお!生きていた小さな命。

 

20203・9,月、