スペインの旅漂・文無しオペラ、 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

スペインの漂・文無しオペラ、

文無しオペラ

                          ❜

道で拾った古新聞 尻に敷いて目をやると

バルセローナ、闘牛士が牛に刺されて死亡

グラナダ、落日を背に詩人が銃殺された

マドリード、老いた娼婦が投身自殺


行く当てもない 帰る部屋もない画家が

乾いたひまわり畑の中にうずくまる

文無し画家が一切れのパンをつまんで

還らぬ人生と語り合う


赤い縞模様の土蜘蛛が

地割れから這い出して すぐに消えた

近くに何かの気配 

畜生!何処かに死神が隠れてやがる

見つけて 蹴飛ばしてやろう


死神がそっと、のぞいて

おい、明日の朝刊の記事、読んでやろうか

うす笑いしながら読みだした


アンダルシア ある画家の死

黒いひまわり畑の中で行き倒れ

へッ ヘッ ヘッへ てめぇのことだよ


教会の鐘がグヮンぐゎんと鳴り出した

赤い土蜘蛛が地割れから顏を出した

文無し画家が立ち上がり ザックをかついで

名も無き人生ドラマ

文無しオペラのアリアを歌う


文無し画家.淡彩画、art on Drawing Paper

2016414・(木)、art  MURAOKA nobuaki、,絵・村 岡 信 明