東日本大震災・人生を奪われた人たち・ | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる



311東日本大震、人生を奪われた人達

かあちゃんの(ひと)り言

                               Ψ

おめぇ、 生きてるよな、 

       いま、どこにいる、

あの時 おらも津波かぶったけど、 

みんなに助けられて、

生き残った、

                               ❜

父ちゃんも時化にやられて三十二年、

まだ、なんもかえらねぇ、

それから、

母ちゃん一生懸命働いて、おめぇ育ててきたぞ、

貧乏だったけど、

破れた服など一度も着せたことねぇ

                               ❜

津波でおら家も潰された、

泥の中から見つけたおめ,ぇの鞄、

中から出てきた一枚のCD

                               ❜

ガランタ舞曲って書いてあった、

ジプシーの踊り歌って書いてあった、

これ、かける機械、買ってきて

鳴らして見っからな、

                               ❜

お盆がきたって、経なんかあげねぇぞ

このガランタ舞曲かけっからな、

悲しみの鐘など、鳴らさねぇぞ、

                               ❜

アキオ、いまどこにいる、

かあちゃん、 さびしいよ~

早く、いぇさ、けぇってきてけれ、

アキオ~


(金)1132016、、Art, MURAOKA Nobuaki詩と絵・村岡 信 明