沖縄・那覇大空襲・012・レクイエム那覇大空襲 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

沖縄/那覇大70年・詩画展、012

レクイエム那覇大

                                

19441010日、早朝七時すぎ

那覇の空を揺るがす爆音、

不意に襲いかかる悪魔の鳥

執拗に投下するナパーム弾

恐怖の爆裂音、吹き上がる火柱

逃げる群衆の背にグラマンの機銃掃射

                                

渦まく火風に煽られて町が燃えていく

おののくウチナンチューが逃げまどう

地を這う炎、砕け散るシーサー

アングァ(赤児)を背負ったアンマー(母親)が

炎に呑み込まれていった

                                

逃げ込んだ墓地の墓室から見上げると

空は血の色に染まり、哭いていた

那覇が首里城が焼け落ちた

地に重なる死屍七百五十余人

那覇の夜は死臭に充ちて更けてゆく

                                

あの日から七十年が過ぎ去った

生き残ったウチナンチュウが老いていく

アカングァもアンマーももう還らない

死んだ霊を呼ぶ盆歌エイサー、琉球ヒヌカン

ハイビスカス乱れ咲く、沖縄の夏

嗚呼、レクイエム那覇大空襲

                          

レクイエム…・・鎮魂歌

エイサー・・・・祖霊を迎える盆歌

ヒヌカン・・・・沖縄の神様

                            

(月)2262015、、、、と詩、村岡 信 明