沖縄・那覇大空襲・08・悲しみのシーサー | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

沖縄/那覇大70年・詩画展・08

悲しみのシーサー


わらび(女の子)が迎えた十三祝い

買ってもらった新しい着物を着て

シーサーの下で つんとすましてた

赤いほっぺたを島風がなでていく


ちんぐさの花が咲く頃

つぎの祝い(二十六)がくるまでに

わらびは嫁に行くだろう

どんな晴れ着でお祝いしよう

夢に描いた花嫁姿


ちんぐさの花、咲く日を待たず

沖縄全土が戦場になった

1010空襲でわらびが死んだ

炎の中で、わらびが殺された


燃えあがる戦火を踏みわけ 

還らぬわらびを抱える

悲しみのシーサー


詩と絵・村 岡 信明


シーサー・・沖縄独自の唐獅子、沖縄では家々の守り神。

ちんぐさ・・鳳仙花 (ほうせんか)。

十三祝い・・沖縄では女の子が13才になると盛大に祝う生年祝い。


(月)1562015Artby MURAOKA nobuak